この記事では、以下のことについて解説しています。
●依頼絵のお礼は「貰うべき?」「タダ働き?」
●趣味の絵描きがよく頼まれる「依頼内容」の割合について
●お礼を貰えなかった時の考え方(または自分への慰め方)

無印かげひと(@kage86kagen)です!
「お前、絵が上手いんだって?じゃあ、家で飾る絵を描いてもらっていいかな?」
趣味で絵を描いている方は、上記のように友達や職場の人から絵の依頼を受けたことがあるかもしれません。
依頼を受け、誠心誠意を込めて描いたイラストを依頼者に渡した時、感謝の気持ちとして「お礼」を頂くことが多いと思いますが、みなさんはどんなお礼を頂いたことがありますか?
プロではない趣味としてイラストを描いている人であれば、こちらから「お礼」の話を切り出すことはなかなかに難しいのではないでしょうか?
運良く依頼者からお礼をもらえたとしても、「これくらいは頂けるだろなー」と考えているイメージの物がいただけるわけではありません。それどころか、お礼すらもらえないことも…?
今回は、主に趣味としてイラストを描いている方向けのお話になりますが、依頼絵を描いた時の報酬のあれそれについて、ちょっとした雑談をしていきたいと思います。
もくじ
よく頼まれるイラストの内容はなにが多い?

身近な人、友人、知人に頼まれるイラストの依頼内容は、どのようなものがあるのでしょうか?自慢ではありませんが、私は社会人になってから依頼絵をおよそ100件ほど描いてきました。(イラストレーターになる前の話です)
そんな体験談も交えながら、よくあるイラストの依頼内容について紹介していこうと思います。
似顔絵

依頼された半分は、似顔絵を描いてほしいという内容でした。
家族を描いて欲しい、パートナーとの思い出を色紙に描いて欲しい、など、実に様々な依頼を任せてもらえました。一番多かったのはお子さんの似顔絵です。頂いたお写真に写ったお子さんはどの子も愛らしい表情で写っていて、私も楽しみながら描かせて頂きました。
これは絵描きさんあるあるになりますが、依頼絵を描いている時はモデルの表情と同じ顔をしながら描いてしまう癖、ありませんか?私なんかがそうです。
モデルのお子さんはどなたも素晴らしい笑顔をしていたので、描いている間は私もつられて素晴らしい笑顔で描くこともしばしば。
退職&転勤の贈呈
「退職や転勤の激励の催し物としてイラストを渡したい…。」
こちらは、今まで受けた依頼の中で2番目に多かった依頼内容です。
退職や転職等に「お疲れ様でした」の意味を込めて贈呈されましたが、渡された当事者はどの方も喜んでいました。こういったプレゼントはその場が感動で盛り上がりますし、何よりかけがえのない記念にもなります。
こういった依頼を完遂できた時、”記念”の立役者になれた気分を味わうことができるので、とても光栄でした!
また、退職する人の顔だけを描くのも少し寂しいので、その方にまつわる物や趣味も添えて欲しいというリクエストもありました。中には、転勤前に車で事故ってしまった方あてに、「事故車も添えて(笑)」という、依頼人からのリクエストも…。
ウェディングボード
中には「ウェディングボード」の製作依頼を受けた事も!華やかな一大行事に携われて本当に光栄でした。
依頼を受けた当時は大変嬉しかったのですが、それと同時に「私なんかが···」と変におこがましい感情を抱いた覚えがあります。しかし、依頼者は私を選んで依頼してくれたので、そのことを誇りに思い快く引き受け、無事にイラストを渡すことができました。
その他
珍しい依頼内容も経験したことがありまして、例を上げると「ドガの「踊り子」を描いて(!?)」という依頼もありました。
ドガという方は、フランスの印象派画家のお名前です。下記の絵に見覚えはあるでしょうか?知っている人は知っている、世界的に有名な画家のことを指します。
エドガー(エドガール)・ドガ(フランス語: Edgar Degas 発音例 、1834年7月19日 – 1917年9月27日)は、フランスの印象派の画家、彫刻家。
『踊りの花形(エトワール、あるいは舞台の踊り子とも呼ばれる)』(1878年頃) オルセー美術館引用元:Wikipedia「エドガー・ドガ」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%89%E3%82%AC)
こちらは「油絵」で描かれている作品ですので、同じ道具で制作したいと考えていましたが、学生時代に使用していた油絵道具は既に友人に譲ってしまい、手持ちにありませんでした。
(油絵道具を一式そろえるのはお金がかかるので)残念ではありますが、手元にあった「透明水彩」で描くことにしました。
透明水彩で描く…、しかも有名画家の絵を模写して描くというのは、今思えばものすごくハードルが高い内容です。かなり苦戦しましたが、なんとか描いてプレゼントすることができました。
しかも、自分が予想していたリアクションよりもはるかに喜んでくれました。ほっと一安心です…。
依頼の報酬はどんなものが多いの?

絵の報酬については、こちらからはなかなか言い出せない…。でも、どーしても期待しちゃうのが「お礼」の内容ですよね。
この依頼の報酬についてですが、今まで受けた依頼に対して頂いたお礼を以下の通り一覧にしてみました。
- お菓子、食べ物 35%
- 飲み物 10%
- 現金 5%
- お礼なし 50%
そうなんです。受けた依頼の半分は、お礼がありませんでした。では、この報酬内容について順に説明していきましょう。
食べ物系に関しては、丁寧に包装してある高そうなクッキーから、コンビニでよくある小パックものお菓子など、値段の差が激しいですがこんな感じで頂くことができました。
飲み物については、絵を渡してお礼を言われたあとに、「奢ってやるよ」と言われ自販機直行パターンが多かったです。
しかし、依頼絵を描いた見返りの半分が、「お礼無し」。
お願いされて依頼絵を描いたのに、依頼者の約半数からはお礼を頂けませんでした。
前々から感じていたことですが、今の世の中の風潮は頼まれてイラストを描いても、お礼を頂けないことがほとんどですよね…。これはなぜなんでしょうか。頼まれた側からすると、とても疑問で仕方がありません…。
今まで貰ったいちばん高いお礼の品
今まで頂いたお礼の中でいちばん高いもので言えば、なんと「現金1万円」でした!
この時の依頼はウェディングボードです。 A3イラストボードにお絵描き道具「コピック」で着色した、かなり大掛かりなイラストです。

依頼主は、結婚式の当事者である新婦でした。出来上がったイラストをお渡しした時にとても喜んでいたのが印象的です。
感謝の気持ちとして金一封を頂くことになりましたが、こんな大金を頂けるとは思っていなかったので、嬉しい反面びっくりもしました。
片や「お礼なし」···。
しかし、逆に悲しい出来事も経験しました…。
似たような依頼内容にはなりますが、結婚式中の紹介動画で使用するイラストを描いて欲しい、という依頼を受けたことがあります。
動画内で使用するとのことですので、こちらはデジタルペイントソフトで描きました。キャンパスサイズは同じくA3。ペイントソフトで描いたイラストははっきり見えやすく、アナログ特有の「誤魔化し」がやりにくいので、先程のイラストよりも時間をかけてより丁寧に制作しました。

依頼主は結婚式の当事者ではなく新郎の友人からでした。依頼絵を渡したあと、ありがとうの言葉と同時に「あとでお礼をする」と言ってくれました。
…が、それっきり、1年間連絡が取れていません。
頻繁に連絡を取り合う仲でもありませんでしたが、「お礼をする」宣言をした依頼者と音信不通になったということに、淋しさというかなんというか、とても残念な気持ちが込み上げてました。
何度か街中で見かけたことがあるので、「生存確認」は取れていますが…。
報酬=依頼者の気持ち

よく、ネット上では「プロではなく趣味で描いているけど、依頼絵の報酬はもらうべき?」という質問をみかけますが、これは貰うべきです。
描き手側としては、相手から「依頼されて」イラストを描いていますので、例え親しい友人であっても何かしらのお礼は貰うべきだと思います。そこは、プロ、アマ、趣味などは問いません。
「好きで描いているからタダでいいだろ?」という依頼者の反論もよく聞きますが、別のサービスで置き換えると、
- 「好きでラーメン作っているんだからタダでいいだろ?」
- 「好きで曲作っているから、タダでいいだろ?」
…と言っていることと同じです。
ラーメンには対価(お金)を支払うのに、どうしてイラストは「お礼」すら頂けないのでしょうか?
依頼側から頼まれて時間をかけてイラストを描いて渡したのに、相手からは何ももらえない…。イラストを描く行為も、料理を提供したりマッサージしたりなどと同じサービスですので、描き手は必ず報酬をもらうべきです。
ただ、もし報酬を頂けたとしても「ジュース1本」や「チョコ1枚」しかもらえず、やるせないどうしようもない気持ちになってしまったら、私はそういった報酬内容については「依頼者の感謝の気持ちの大きさ」としてとらえよう、と思っています。
「ゲンキンな奴」と思われるかもしれませんが、
・金一封や、
・奢るから一緒に食事しよう、
というお礼の内容は、今回の依頼に対して間違いなく感謝してくれているというように捉えてもいいと思います。
その反面、お礼をもらえず「ありがとう」という言葉だけ頂く場合もありますが、これについては「あまり満足してもらえなかったんだな」と思うようにして、それ以上何も考えないようにしてます。
例外として、先程の「お礼を渡す発言をしておきながら、音信不通にされてしまう」場合でしたら、結果的に約束を破っているので、「それまでの人だったんだな」と見限り、可能な限り人間関係をフェードアウトするようにしています。
イラストに関しても、料理と同じく制作時に材料費(=制作時間)がかかっています。胃袋を満たさないにしろ、生活やイベントに彩りを与える立派な商品です。依頼する側は、タダで描いてもらおうという考えを改めて頂きたいです。
依頼される側は自分の持てる力を出し切ろう

請負人(依頼される側)としては、依頼者がどういう思いであろうと自分自身を描き手として選んで依頼してくれています。
選んでくれたことに応えるためにも、依頼された際自分史上最高のイラストを渡すつもりで描いていきましょう。常に本気で描くと、画力アップの向上にも繋がります。
そんな感じで気合を入れて描いたイラストが相手に渡った時、相手の嬉しい顔を間近で見れるとなかなかに心地がいいものです。
本来は、必ずお礼をもらっていい「サービス」だからね。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は、依頼絵の報酬についてお話ししました。
光栄なことに、私は今まで依頼絵を100件ほど描くことができました。その体験を改まって振り返ると、依頼主のお礼は人それぞれで決まったお礼の形はありません。
ただ、依頼されたからには、依頼された側は何かしらのお礼を貰うべきだと思います。これが仕事のやり取りであれば当然ですが、友人同士でも同じことです。
プロ、アマではないにしろ、趣味で絵を描いている方も一緒。依頼に対してきちんと絵を描いたのにお礼を貰えない、またはお礼を払ってもらえないそぶりの場合、勇気をもって「お礼」について切り出してみるといいかもしれません。
世間体では、イラストをタダで描いてもらって当然という考えの方が多くいるみたいです。
依頼でイラストを描いたらお礼が貰える、このルーティンが浸透していけば、制作のモチベーションもあがりますし、イラスト業界もさらに活気づくのではないでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました!
ではまた!