この記事の解説事項
●依頼者とイラストレーター間での、イラスト依頼についての「考え方」のすれ違いについて
●依頼者からよく来そうな質問や疑問
●依頼する時に最低限教えて欲しい内容について
無印かげひと(@kage86kagen)です!
今回は、「イラストの依頼」に関するお話です。
今の世の中は、一昔前と比べるとイラストに関する依頼が盛んに取引されています。これはイラストレーター⇔企業に限らず、イラストレーター⇔個人でのやり取りが特に急増しているように思えます。こうして振り返ると、イラスト業界というのは年々盛り上がっているように見えますね。
現在は、個人の方でも気軽に依頼できる一方、イラストレーターと依頼者の間には「依頼に関する考え方のすれ違い」もあるように思えます。
例えば、依頼の調整を行っていく中、
- 依頼者「どうしてイラストの料金がどこにも表記されていないんだろう…」
- イラストレーター「イラストの料金は掲示できないよ。だって、描き込み量や人数によって大きく変わるもん…」
といったようなすれ違いが起きていることも少なくありません。
依頼する側とされる側。立場が逆にしろ、こういった考えのすれ違いは時としてトラブルを発生させてしまったり、お互い後味が悪いままお仕事終了となってしまう場合もあります。
イラストを依頼する依頼者は、どういったことに質問・疑問を持つのか、また、イラストレーターにとって「地雷」と感じてしまうものはなんなのか…。気になる方もいるのではないでしょうか?
ということで、今回は「イラストを依頼する時の依頼者の質問や疑問、不満について答えてみた」と題し、依頼者側の気持ちもくみ取りながら、依頼に関する様々な質問や疑問について回答してみようと思います。
管理人は現在イラストレーター兼動画師として活動をしていますが、お仕事に携わった依頼者からのご意見、体験、その他ネット上などで度々議論になっている意見を参考にしつつ、「依頼者」と「イラストレーター」の考えを中立的に見ながら書き記していきたいと思います。
- 依頼者とイラストレーターの間によく発生する「考え方のすれ違い」について
- イラストレーターに依頼したいけど、どういった内容がイラストレーターにとって「地雷」なのか、事前に調べておきたい
- イラストはどうして有料なの?また、もらったイラストはどうして勝手に改造しちゃいけないの?
などなど、よくある疑問からかなり込み入った話まで一覧としてまとめています。気になる方はぜひご覧ください!
もくじ
依頼者とイラストレーターの考えのすれ違い

イラストを依頼する「依頼者」と、依頼を受ける「イラストレーター(または絵師)」とでは、イラストの依頼や制作に対する考え方が違う場合があります。特に、依頼者側が普段から全く絵を描かない、絵の経験が無い方の場合だと、尚更すれ違いが激しいかもしれません。
こうした「依頼に関する疑問や不満」を、依頼者(または制作者側)がSNS上で呟く時がありますが、時として白熱した議論となっている様子を何度か見かけたことがあります。
そういった様子を見ると、「まぁまぁお互い…」とは思いつつ、依頼する側とされる側の立場は全く逆であるため、意見のすれ違いを完全になくすことは不可能に近いということを改めて認識させられます。
でも、「これは仕方ないよね」といって割り切るよりは、依頼者側は依頼する時の注意事項を事前に調べてみたり、逆にイラストレーター側は「依頼する相手は、イラストの依頼に関して素人だよ」という心持ちで柔軟に対応することが、お互い気持ちのいい取引ができると思われます。
依頼者側からの疑問や不満について答えてみた

ということで早速ですが、依頼者がよく抱きがちな「イラストの依頼に関する疑問点や不満点」についていくつか取り上げてみました。これに対し、イラストレーター側からの回答を載せていきたいと思います。
また、SNS上などでよく議論になりがちな内容についても掲載しています。
依頼者側の質問・疑問・不満
イラストの依頼はどこからやればいいの?

そもそもの話、イラストレーターにイラストの依頼をしたい場合は、どこからどうやって依頼すればいいのかが分からない。
近年は個人&企業を問わず、気軽な気持ちでイラストを依頼する方が急増しています。ただ、そもそもの話「どうやってイラストを依頼すればいいのか分からない!」という方も、実は多いのではないでしょうか?
イラストレーター側から見ると疑問に思うかもしれませんが、依頼者側の立場からすると本当に分からなかったりするものです。
また、依頼する方法は分かっていたとしても、依頼する事に怖気づいてしまう、もしくは「僕なんかが神絵師に依頼できるわけない…」と遠慮してしまう結果、結局依頼すらできない…という方も多いみたいです。
これらについてですが、まずはイラストを依頼する方法について下記の通りいくつか手段があります。
- TwitterやInstagramなどのDMからメールを送る
- イラストレーターが持っているホームページの「お問い合わせ」から連絡する
- イラストレーターを支援している団体(シーンや絵柄に最適なイラストレーターを紹介してくれる団体等が存在する。例えば「イラストレーター協会」など)に問い合わせてみる
- クラウドソーシング経由で依頼する etc…
上記に加えて、SNSのプロフィールなどに「お仕事募集中!」と掲載しているイラストレーターにであればもう盤石です。まずは「こんにちは、イラストを依頼したいのですが…」といった一言でも大丈夫ですので、気軽にメールをしてみてください。
クラウドソーシングから依頼をされる場合、頂く報酬の○○%を「手数料」としてサイトに支払う必要があり、見積もった金額が全て制作者の懐に入るわけではないからです。
このクラウドソーシングの手数料について補足ですが、手数料の額はサイトによって異なります。例えば、某サイトで手数料が「20%」の場合、1枚30,000円でイラストを依頼したとしても、手数料が20%が引かれてしまうため、イラストレーターには「24,000円」しか入りません。
そういった観点からみると、クラウドソーシング<直接依頼(サイトやSNSのDM)をしてくれると、イラストレーター側からすれば大変助かります。というより、直接ご連絡ください!
また、依頼することに怖気づいたり、変に遠慮してまうという気持ちについてですが、この気持ち、すごくよく分かります…。
ただ、イラストレーター側からすると、「とにかくお仕事が欲しい!」「遠慮しないで気軽に連絡してみて!」といったような肉食系がほとんどです。(特に「お仕事募集中」と掲げているイラストレーターは、依頼への食いつきがすごいです。)
そのため、依頼しようかしないかとためらうことはありません。イラストレーターとしてはお仕事の話が来ることに対して「邪魔だなぁ…」と思うことはありませんし(人によりますが)、結局は依頼者側の心持次第ですので、まずは気軽な気持ちでサイトやSNSにお気軽にお問い合わせください。
描いてほしいイラストの雰囲気はどう伝えればいいの?
描いてい欲しいイラストの雰囲気は思い描いているものの、どうやって伝えればいいのか分からない。また、文章で伝えようにしても、全て伝わるかどうかがとても不安…。
イラストを依頼される時にあらかじめイメージが固まっている場合には、「どうやすればイラストレーターにイメージ内容が伝わるのか」こういった悩みも多いのではないでしょうか?
こちらの回答ですが、自分が思い描いているイラストの雰囲気に近しい「参考画像(リファレンス)」、もしくは「その画像が掲載しているリンク先」等があれば、それを送付して頂けると嬉しいです。イラストレーターとしては、そのイメージを参考にしつつオリジナリティあるイラストのイメージを提案します。
※企業などの「IP案件」等の場合はまた違ってきます。(「IP案件」とは、例えば「私のゲーム会社で某有名マンガを題材にしたスマホゲームを制作するので、そのゲームキャラクターを描いてくれませんか?」といったような案件の事を言います。)
もし、参考画像や参考リンク先等が見つからない、もしくはどれもイメージとかけ離れている場合、文章のみで伝えてもOKです。イラストレーター側である程度イメージし、そこからお互いイメージをすり合わせながら調整していくことになります。
ただし、「文章では伝えられないほど指示が超細かいよ!」というのであれば、電話やWeb会議サービス等を使用し、「音声」で調整した方がスムーズに調整することが可能です。
まとめますと、「こんな感じで描いて!」といったイラストのイメージの伝え方の方法としては、下記のような手段があります。
- 参考画像、参考動画、または参考コンテンツが載っているリンク先を送付する
- 文章で伝える
- イメージがあまりにも細かすぎる場合、電話やWeb会議サービスなどの「音声」で伝えた方が早い
なんで無料で描いてくれないの?

絵を描ける人はみんな簡単にパパっと描けるわけだし、イラストを依頼するのにはどうしてお金が発生するの?
近年は大分減りましたが、数年前は「イラストを無料で描いてください!」といった依頼も少なくはなかったようです。しかし最近はイラストレーターの地位の向上や、イラストの依頼に関しての考え方が世の中に浸透してきているため、開口一番に「無料で描いて!」と言う依頼者は大分少なくなりました。
イラストレーターにとってイラストを描くというのは、立派なお仕事です。
マッサージ屋さんがマッサージを提供したり、ラーメン屋がラーメンを提供するのと同じ感覚ですので、当然イラスト制作にもお金が発生します。ラーメン屋には「無料で食べさせて!」と言わないのに、イラストの制作に関してはどうしてそういう考えになってしまうのでしょうか?
そのため、もし「イラストは無料で描いてもらうべきだ!」という固定概念がある依頼者は、「イラスト=無料ではない」という考え方を改めて頂きたいと思います。イラストを依頼するには「お金がかかる」という事を常識として考えて頂きたいです。
イラストレーターもサービス業の一つであるため、イラストの制作はお金が発生することは年頭に置いておきましょう。
ただし、例外はあります。イラストレーターの中には「無料」でイラストの依頼を募っている方も少なからずいらっしゃいます。特に駆け出しイラストレーターの中には「無料」、または「超格安」でイラストを提供する方も多いです。
なぜこうするのかと言うと、以下のような理由があります。
- これからイラストレーターとして活動するにあたり、自分の画力が販売するに値するかどうかテストしてみたい
- とにかく実績が欲しい etc…
「美大卒でした」、「イラスト専門学校卒でした」といったような学歴がある方ならまだしも、管理人のように「大学に進学していない→前職がイラストとは全く関係のない仕事→コネなし実績なしでイラストレーターに転身」といった方の場合は、学歴はおろか「○○さんのイラストを描きました!」といった実績がまったくありません。
そのため、「○○さんのイラストを描きました!」という実績欲しさに、無料または超格安で請け負うイラストレーターもいます。
イラストレーターになった方なら共感してくれると思いますが、この「実績」というのは「自分のイラストが上手いかどうか」という事よりも非常に重要な内容です。例えば、依頼者がイラストレーターに依頼しようとする場合、
- 実績はまったくないですが、イラストの依頼を募集中です!
- ○○さんのイラストを描いたことがあります!依頼募集中です!
- ○○企業の依頼を請けたことがあります。依頼募集中です!
上記の3人のイラストレーターがいる場合、少なくとも①番の方には頼みづらいと思われます。
依頼する方にお伝えしたい事は、イラストを依頼する際には「お金が発生する」という考え方を念頭に置きつつ、中には「無料で依頼を募集している」イラストレーターもいますよ、ということを知って頂ければと思います。
無料で募集している方は、SNSのプロフィールやサイト等に「無料で描きます!」などと必ず記入していますので、そちらを参照してください。
ただし、無料でイラストを依頼する際の注意点ですが、「有料級のイラストを無料で描いてもらえるなんて、ラッキー!」といった過度な期待は禁物です。
無料で請け負っているイラストレーターに大変失礼ではありますが、無料販売している方にイラストを依頼する場合は、依頼者側も自己責任という心持でいてください。
ほとんどのイラストレーターは有料でイラストを描いていますが、駆け出しイラストレーターの中には、力試しの意味も込めて「無料」で請け負っている方もいます。これらについてよくよく考えた上で依頼して頂けると幸いです。
なんで料金が表示されていないの?
イラストを依頼しようと思うけど、多くのイラストレーターは「価格」を掲示してくれていないので、どれぐらいかかるのか怖くて依頼できない。どうしてイラスト制作の値段は書いていないのか?
その気持ち、よく分かります。学生や社会人成り立ての方にとっては特にお金に関してシビアなので、尚更不安に思うことでしょう。しかし、これには大きな理由があります。
イラストは完全な「オーダーメイド」です。描くキャラクターの人数、服装の描き込み量、背景の描き込み量などによって作業時間が大きく異なるため、それに伴い価格も大きく異なります。
そのため、「このイラストなら○円!」といったように断言することがかなり難しいです。なので、この場合のイラストはいくらになるのか?など、値段を教えて欲しい場合は、イラストレーターに連絡して相談(見積り)をしましょう。
また、制作時間以外にもイラストレーターの知名度によっても料金が変わる場合があります。例えば、Twitterで○○万人フォロワーの人や、何十年に渡って有名なゲームのイラストを描いている人にイラストを依頼する場合だと、その方の知名度や「実績公開」する時の宣伝力も段違いのため、結果としてイラストの価値が高くなり、料金も高くなることが多いです。
他にも、あらかじめ価格を公開してしまうと、途中で価格を上げづらくなるという製作者側のデメリットがあります。掲示しておくことで依頼者に安心を与える事ができますが、逆にイラストレーター側が心労してしまう場合もあり、この「価格の公表」については結構難しい問題だったりします。
これらが理由のため、多くのイラストレーターは「○○円で描きます!」といった料金掲示をしていません。このイラストならどれくらいで描いてもらえるのか?または予算の範囲内ならどういったイラストが制作できるのか?こういった料金について知りたい方は、思い切ってイラストレーターに問い合わせをしてみましょう。
お金を支払う際にはどうすればいいの?

イラストが納品された!でも、お金はどうやって支払えばいいの?
有償でイラストを依頼した際の「お金」の振り込み方法についてですが、これはイラストレーターによって支払いの方法や支払う時期について異なります。
まずは支払いの時期についてですが、下記のどちらかを指定するイラストレーターがほとんどです。
- 契約着手前(イラストの制作に取り掛かる前)に支払う
- イラスト納品後に支払う
個人依頼の場合だと、特に②の方法で支払いをお願いする方がほとんどです。この支払いのタイミングに関しては、イラストを依頼する前の「ヒアリング調査(事前調整)」で調整していくことになります。
この支払い方法についてもイラストレーターによって様々ですが、銀行振込での指定がほとんどです。私の場合、イラストを納品すると同時に「請求書(今回はこの内容を制作したので○○円を請求します、というような証拠書類)」をデータで送付しますが、この請求書に「振込先」を記載して振り込んでもらっています。
企業とのお仕事の場合だと、今月末締めか来月末で振り込みされる場合が多いです。また、長期に渡るお仕事(数ヶ月や数年といったスパン)の場合は、作業の段階ごとに分割して支払ってもらう場合が多いです。
こんな感じで様々ありますが、これらは事前にイラストレーター側からからお話があると思いますので、その都度調整して頂ければと思います。
イラストレーターか絵師、どちらで呼べばいい?

絵を描く人の呼び方は「イラストレーター」、または「絵師」という呼び方があるが、その手の方を呼ぶ時には、どちらの呼び方がいいのか?
これは依頼とは少し異る質問ですが、依頼者の中には「イラストレーター」と呼べばいいのか、はたまた「絵師」と呼べばいいのか悩む方もいるようです。実際、私も「イラストレーター」と呼ばれたり「絵師」と呼ばれたりなどまちまちです。
これらについてですが、まずは名称から説明していきます。
「イラストレーター」という呼称は、「イラストを描くことを仕事としている」方に対して呼ぶ昔からの呼称になります。そのため、絵を仕事としている方達を「イラストレーター」と普通に呼ぶことに関しては、今も昔も何ら問題ありません。
次に「絵師」という呼称についてですが、絵師という言葉自体は江戸時代の浮世絵等を描く人達を呼ぶ名称として使われていたそうですが、現代での意味は主にサブカルチャーの世界、日本のポップカルチャー内でイラストを描いている人の事を指す意味となっています。
イラストレーター(英: Illustrator)とは、情報や概念の視覚化、図解、娯楽化など、何らかのコミュニケーションを主目的とした絵=イラストレーション(イラスト)を描くことを生業としている人のこと。
日本のポップカルチャーにおいては絵師と呼ぶこともある。
引用元:ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC)
イラストを仕事としている人=イラストレーターと呼んで頂ける分には全く問題ありませんが、絵師という名称はどちらかというと下記のような意味合いで使用している方がほとんどです。
- 主に漫画やアニメ系の絵柄でイラストを描いている人
- その中でも、サブカルチャーな世界で活動している方向けに言われる事が多い。(pixivで活動している、youtuber系のイラストを描いている、ボーカロイド曲系のMVイラストを制作しているetc…)
- どちらかというと、「仕事」というよりは「趣味」で描いている人に向けての意味合いが強い
当然、イラストを職としている人は、上記以外の活動をされている方も多いです。(絵本を描く人、ポスターを描く人、似顔絵を描く人など、世界的&日本国内的に見れば)。ただ、個人的には絵を描いていている人にむやみにやたらに「絵師」と言うのは避けた方がいいかもしれませんね。
イラストを納品してもらったら後は自由に使ってもいいの?

イラストを納品してもらったらこのイラストはもう私の物だから、キャラの髪型を少し変更したり、当初使用を予定していなかった「Twitterのヘッダー」にも使っちゃおう!…としたけれど、イラストレーターにダメと言われた。どうして?
これもよくありがちな出来事です。イラストを納品してもらったら、このイラストは晴れて「自分のもの」、数日後に髪が少し気に食わないから自分で修正したり、本来は使用する予定で無かったところにも使用しよう…、と考えたことがある人も多いのではないでしょう?
残念ながら、納品したイラストを勝手に修正したり、あらかじめ教えられていない用途場所に無断で使用することは、「著作権侵害」に当たります。
まずは基本的な事ですが、イラストは制作した時点で制作者に「著作権」という権利が生まれます。これをざっくり説明すると、「描いた作品は描いた作者のみが独占できる」、「他の誰かに許可なく改編、無断使用(無断転載も同様)されない」といった、言わば作品を守ってくれる権利です。
実は、依頼者と相談して見積もった「イラスト料金」というのは、「制作料+イラストの使用料」という考え方の元で料金が発生しています。この値段の中には、イラストそのものの権利を引き渡す意味合いはありません。
そう考えると、先ほどの疑問の1つである「このイラストはもう私の物だから、キャラの髪型を少し変更しよう」というのは完全にアウトになります。
2つめの「当初使用を予定していなかった「Twitterのヘッダー」にも使っちゃおう!」というような事象を、「二次利用」と言います。この「二次利用」についても、イラストレーターの許可なくして依頼者が他の場所に勝手に使用することは許されていません。
例えば、「Webサイトのトップ画像に使用する」という名目で依頼したものの、「自分が出版する本の表紙にも使いたい」と考えたとします。
- 依頼内容が「Webサイトのトップ画像に使用する」といった名目の場合←これを「一次利用」(1つ目の使い場所)
- 後に、「自分が出版する本の表紙にも使いたい」と考えた場合←これを「二次利用」(2つ目の使い場所)
…こんな感じですね。
ちなみに、イラストレーターによっては著作権譲渡OK、二次利用料を徴収はしないという方もいらっしゃいますが、こういったスタンスをとっている方は非常に少ないです。なぜかというと、著作権譲渡、二次利用料の未徴収によって、イラストレーター側にデメリットが大きいからです。
著作権譲渡をすることによってのデメリット
- イラストの著作権を完全に譲渡することにより、制作者自身が今後一切そのイラストに携わる事ができないから。(もっと言うと、自分が描いたのに、そのイラストを利用する時には「依頼者」に許諾を取らないといけなくなる)
- 自分が意図しない使われ方をされる可能性があるから。(例えば、アダルトサイト内に使用される、宗教団体の勧誘に使用されるetc…)
- 企業との契約でイラストを制作→納品(著作権譲渡)した場合、「バッティング」してしまう可能性があるから
「バッティング」とは・・・特に企業の広告イラストを制作する場合に起こり得る自称。
例えば、「化粧品A社」のイラストを描き、さらに「化粧品B社」の仕事も請け負った場合、イラストの絵柄が似通ってしまうがために消費者を混乱させたり、その混乱によりお客がA社(又はB社)に流用してしまうなど、企業に損失が発生する場合がある。
そのため、こういったジャンルの仕事を請け負う場合、「バッティング制限」についての知識や考えも念頭に置かないといけない。(詳しくは検索してみてください!)
二次利用料の徴収をしない場合のデメリット
- イラストの制作者であるイラストレーターに利益が入らない
- 自分が意図しない使われ方をされる可能性があるから。(「二次利用先についての報告は不要です」と伝えた場合)
こういった観点から、例えイラストが納品されたとしても「制作者に許可なく修正、改造できない」「許可なく他の用途に使用できない」といった禁止事項を設けるイラストレーターがほとんですす。
依頼者は最低限こちらの内容について知って頂きたいところです。また、イラストレーターの中には気軽に「著作権譲渡」「二次利用の報告無しOK」をしている方もいますが、このように後々大きなデメリットがありますので、イラストレーターにも改めて見返して欲しい疑問でした。
●著作権・二次利用について分かりやすい参考サイト
・イラストの二次利用ってどこまでOKなの?(セキサトコさん)
・知らなきゃ損!イラストの二次使用料とは?著作権譲渡する際の注意点など詳しく解説!(イラストレーター生存戦略)
依頼する際に準備して欲しいこと

本当は、もっといろんな疑問について答えていきたかったのですが、今回は特に話題になりがちな「依頼者の質問・疑問」についてをピックアップしてみました。中には、「これは初耳だった」と思った依頼者もいるかもしれませんね。
今回の記事を読んで「イラストレーターにイラストを頼んでみようかな…?」と思ってくれたのであれば、「お仕事募集中」のイラストレーターにとってはとても歓迎することです!
もし、本格的に依頼を考えている場合は、あらかじめ以下の内容について教えて頂けると、よりスムーズに調整&お見積りを行うことが可能です。
- 簡単な自己紹介(氏名(P.Nなど)、肩書き(職業名、学生など)、どんな活動をしているかetc… ようは、自分は何者なのかを伝えて欲しい。)
- イラストの使用用途
- 二次利用はあるかどうか
- 著作権譲渡を希望か否か(著作権譲渡の場合は、制作料金のおよそ数倍~数十倍の料金が発生します。)
- 制作して欲しいイラストのイメージ画像(無理にラフ案を描く必要なし!)
- 予算(どうしても算出が難しい場合は、制作して欲しいイメージを掲示しつつ、「こんな感じのイラスト○枚なら、おいくらで描いてもらえますか?」と質問するのもあり)
- 納品日(「いつでもいい」は結構地雷。ある程度の日にちを指定してもらえないと、1年後に納品しても文句は言われない…よね?)
「丸投げ」はイラストレーターが警戒する発言

たまに、「料金はそちらで決めてOK、納期はいつでもOK(またはなるべく早めに)、イラストのイメージも全てお任せ!」といったように、全て「丸投げ」をする依頼者もいらっしゃいますが、これはイラストレーターにとって「地雷」になります。
特に「イラストのイメージ」についての丸投げは、イラストレーターを警戒させます。なぜかというと、下記のようになりがちだからです。(経験あり)
依頼者:「イラストの雰囲気は全てお任せします!」
イラストレーター:「(全てお任せね。ふんふん。)分かりました。じゃあ、自由に描いたイラストをご確認ください。」
依頼者:「うーん、なんかイメージと違うんだよなぁ…。」
イラストレーター:「…?」
といったように、「全てお任せ」と依頼されたにもかかわらず、後からちょこちょこ修正を出される…という事象が発生してしまうからです。ちょっとした修正ならまだしも、服装や容姿、背景を全体的に修正を要望されると、イラストレーターの心情としては、
と、どうしてもこういう気持ちになってしまいます。
そのため、「海のイラストが欲しい」、「女子高生1人」といった大雑把なイメージでも構いません。単語でもいいので、イラストのイメージについてなるべく教えてくれると非常に助かります。
疑問点はイラストレーターにお問い合わせください

ここまでは、イラストの依頼に関してお話しました。細かい内容ばかりでしたし、もしかすると依頼すること自体をためらってしまう方もいるかもしれませんが、大丈夫。イラストの依頼に関して何か分からない事があれば、DMやお問い合わせフォームから気軽に尋ねてみてください。イラストレーター側もなるべく分かりやすく回答します。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は「イラストを依頼する時の依頼者の質問や疑問、不満について答えてみた」についてご紹介しました。
イラストを依頼する依頼者と、その依頼を請けるイラストレーターとでは、立場がまったく逆のため、「イラストの依頼」に関する考え方も違ってきます。そのため、依頼自体が初めての方にとっては、「どうして○○なの?」といった質問や疑問を抱きがちです。
今回は、そんな依頼者の質問や疑問を少しでも解決できるように、よくある質問や疑問についてイラストレーターとして回答してみました。もしかすると、「初耳だった」と感じた事もあるかもしれませんね。
もし、今回の記事がきっかけで「イラストを依頼してみようかな?」と考えている方は、遠慮なくお気軽にご連絡ください!
余裕があれば、最低でも下記の内容について教えて頂けると嬉しいです。下記の内容を踏まえた上でさらに詳しい調整をしていきます。
- 簡単な自己紹介
- イラストの使用用途
- 二次利用はあるかどうか
- 著作権譲渡を希望か否か
- 制作して欲しいイラストのイメージ画像
- 予算
- 納品日
今回の記事が、イラストを依頼しようと考えている方、または依頼者はどういった事について疑問に思いがちなのか?といった事が知りたい方にとって参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!