この記事の解説内容
●2021年に入ってからよく聞く「NFT」とは?
●NFTがなぜイラストレーターを救うと言われているの?
●NFTの問題点
無印かげひと(@kage86kagen)です!
みなさんは「NFT」という言葉をご存じでしょうか?今年に入ってから日本国内でポツポツ出始めた言葉ですが、ネット記事やSNSを頻繁に利用している方だと特に見かけたことがあるかもしれませんね。
このNFTという言葉ですが、一見クリエイターには何の関係も無さそうな文字列だと思うかもしれません。しかし、実は大分関係がある言葉なんです。
巷では、「NFTがイラストレーターを救う!」と言われているほどまで話題になっているんだとか…!
というわけで、今回の記事では「イラストレーターを救う?デジタル資産「NFT」について」、分かりやすく解説していこうと思います。
- NFTってなに?
- デジタル用語っぽいけど、難しいの?
- NFTがなんでイラストレーターを救うの?
などに関して、「デジタルの世界」が全然分からない絵描きさんにも分かりやすく説明していきたいと思います。
なおこの記事は、様々な情報を自分なりに解釈して書き起こした記事になりますので、こちらの記事を読んだ後は、必ずご自分で調べ直すことをおススメします。
それではいってみましょう!
もくじ
NFTとは?

2021年に入ってからは、この「NFT」というワードが日本国内で急上昇となっています。まずは、このNFTについて分かりやすく説明していきましょう。
NFTとは、「Non-Fungible Token:非代替性トークン」の略となります。
おそらくこのNFTという言葉について、イラストレーターや絵描きさんの間では今までほとんど聞いたことが無い言葉だと思います。それもそのはず、この言葉は「暗号資産」などといった「デジタル用語」寄りの言葉となります。
確かに。デジタルの世界に疎い方は、そもそも「暗号資産ってなに?」「ビットコインとは?」という言葉すらわかりませんよね。
現に、様々なサイトで解説されているNFTに関する解説記事は、「デジタル用語」や「暗号資産」の事を知っている前提での解説ですので、絵描きが興味を持つには少しハードな説明だな…と感じていました。
…ということで冒頭の話に戻りますが、「NFT」というのは、「Non-Fungible Token=代替不可能なトークン」という意味の略称です。
「代替不可能な」という意味をもう少し噛み砕くと、「世界で1つだけの物」ということです。
例えば、私が持っている1,000円札と、みなさんが持っている1,000円札は「同じ価値」を持つ1,000円札ですよね?
しかし、私が持っている1,000円札がただの1,000円札ではなく、「19○○年に5枚しか発行されなかった、シリアルナンバー「*****」の1,000円札」だったら、よくある1,000円札よりも貴重な1,000円札、いわゆる他の1,000円札に替えがたい1,000円札になります。
さらに例えると、有名な画家レオナルドダヴィンチが描いた「モナリザ」という絵画。モナリザのコピー品や贋作品(作者が違うけど本物そっくりに描かれたニセモノ)は世界中にごまんと溢れかえっていますが、正真正銘本物のモナリザは、世界でただ1つしかありませんよね。
こういったように、「同じものでも替えが効かない物」、「世界で1つだけ、あるいは限定して作られたようなもの」、こういったものを「代替不可能な」と言います。
NFTというのは、いわば「証明書(シリアルナンバー)」みたいなものでして、この証明書をデジタル品に組み合わせることにより、「世界でただ一つのデータ」みたいな感じになります。このNFT化されたデジタル品を、デジタル上で売ったり買ったりすることができる…こういった世界ややり取りの事を、広い意味でNFTと呼んでいます。
(デジタル品:デジタルイラストはもちろんのこと、アート、動画、音楽、ゲーム上のトレーディングカードなど…)

NFTの世界を覗いて見ると、「NFT化した作品」とか「NFTを発行したデジタル品」といった言葉がよく飛び交いますが、NFTという改ざんできない証明書(シリアルナンバー)がくっついたデジタル品…みたいな考え方をして頂けると、理解しやすいかもしれません。

日本では2021年2月頃から話題急上昇

このNFT(代替不可能なトークン)というデジタル資産は、2018年頃から世界で広まってきたそうです。日本国内では、今年の2021年2月あたりからTwitter上などを中心にトレンド急上昇。もしかすると、ネット上で一度は「NFT」という言葉を見たことがあるかもしれませんね。
私が初めてNFTを知ったのは、2021年2月頃でした。Twitter上のTL欄で”「NFT」がイラストレーターを救う!?”という文章を見かけたことがきっかけです。
イラストの話になるとすぐに飛びつくという私の性を利用して、さっそくNFTについて調べ始めることになります。ただし、理解するのに丸々1週間ほどかかりましたが。
なんでイラストレーターを救うの?

では、なぜ「NFTがイラストレーターを救う」ことになるのでしょうか?ここからは、先ほどのNFTの性質を踏まえた上で読み進めていただければと思います。
転売されにくくなる

現在、イラスト界隈で重大な問題となっている「転売問題」。この転売問題というのを簡単に説明すると、自分が描いたイラストが他の人に無断で転載される、SNS上などで公開される、自作発言されるといったかなりやっかいな問題です。
NFTは、この問題を大きく解決してくれる可能性があります。例えば、「電子書籍」を販売する際にNFT発行して販売することで、データそのものにシリアルナンバーを付けて販売することが可能かもしれません。
※ただし、この話はあくまで”想像”になります。
商業誌以外にも、「同人誌」を販売する時(一次創作や二次創作許可が出ている二次創作について)なんかに活用できそうですね。先ほど具体例を示したイラストを載せてみましたが、電子書籍で同人誌を発売したらスクリーンショットされ、無断で転載販売を行われてしまい、
- 無断販売された方は5,000冊販売
- 正規品は4冊しか売り上げがなかった
上記のような悲劇が起こってしまい、筆を折ってしまった同人誌作家さんもいらっしゃいます。

電子書籍をNFT発行する…、こういった動きは今のところありませんが、こんな感じでNFTを活用することにより、いつかはNFT発行のもとで「同人誌即売会」が行われる日が来るかもしれませんね。
イラストレーターへの直接的支援に繋がる
今も昔もそうですが、イラストレーターというのはあまり儲かる仕事ではありません。例え、ビッグタイトルのゲームのパッケージや、有名なマスコットキャラクターを描いてそのコンテンツが盛り上がったとしても、利益は「イラストを依頼した依頼元」に大きく入ります。(仕方ないと言えば仕方ありませんが…。)
ですが、NFTで販売したイラストを購入者が買うと、売上金がそのままそっくり「NFT発行者」に入ってくるので、好きなイラストレーターを直接的に応援することが可能です。
二次販売の売り上げも貰うことができる
NFTで買ったイラストは、なんと購入者が別の購入者に売ることができるいわゆる「二次販売」が発生することもあります。
いえいえ、こちらは悪い意味での転売ではありません。NFTの販売場所(プラットフォーム)によっては、「NFTを購入した人が、別の人へ二次販売する」ことができる場合があります。
この二次販売をする際には、「二次販売時の収益の一部を、NFT発行者が貰う」設定をすることができます。つまり、この二次販売の「売り上げ金」の一部を自分の収益にすることも可能です。
(※これは、NFT発行者による事前の設定が必要です。さらに、この「二次販売時の売り上げ手数料の○%の数値」、「そもそも二次販売OKかダメか」について設定もできるそう。これは販売場所(プラットフォーム)によって異なるみたいです。)

また、イラスト以外の話で例えると、「ゲームのキャラクター」もNFT上で二次販売することが可能です。
どういうことかというと、今までのゲーム(スマホゲームで例えると、「パズドラ」や「ウマ娘」など)のキャラクターというのは、Lv.や能力アップ、完凸(カンストのこと)をいくら頑張ったとしても、ゲームのデータを消したりサービスが終了してしまうと、キャラクターの能力も一瞬で無かったことになってしまいます。
NFTではその「完凸などをしたゲームキャラクター」の二次販売も可能になるので、「キャラクターの販売」もすることが可能です。
ただし、これはNFTに対応している「ブロックチェーン」という技術を用いたゲームが対象です。現時点では「ポケモン」や「ファイナルファンタジー」といったゲームではできません。
スクウェア・エニックス初
ブロックチェーン技術を活用したNFTデジタルシールを2021年夏発売
「ミリオンアーサーシリーズ」で展開予定引用元:スクウェア・エニックス(https://www.jp.square-enix.com/company/ja/news/2021/html/bf90b7d319cc90576e55d1e6f0b3997263f3926b.html)
デジタル資産家が買ってくれる

今の世界の富裕層は「デジタルの世界」にも多くの投資をしているそうで、なんとデジタル上で土地なんかも購入しているそうです。このように、NFTではデジタル作品以外にもデジタル上の土地(仮想空間)なども売買されています。
まあ、このデジタル上の土地は置いておいて…。
NFTが話題になってからは、「ピクセルアート1枚が○○億円で購入!?」「日本人VRアーティスとの作品が、○○千万円で購入された!?」といったニュースが、ネット上で日常茶飯事に飛び交っています。
●参考記事
NFTアートが約1300万円で落札 世界的VRアーティストのせきぐちあいみさんに、“VR一点もの”オークションに挑戦した経緯を聞いた
こういった巨額な金額で購入しているのは、もちろん富裕層。購入する理由は、「将来の投資」のためなんだとか。
デジタル作品の中には、現在はそんなに価値が無さそうだけど将来は何倍もの価値に膨れ上がる…といった作品が眠っているかもしれません。そういった作品(制作者)に価値を見出し、今のうちに買っておくといった行動を行っているそうです。
こんな感じで、ふとした時に自分のアートが○○万円で売れるという夢のような出来事が起こる可能性もあります。
参考記事として紹介したせきぐちあいみさんも、「出してみて売れなかったらどうしよう」という半信半疑で始めた結果、いきなり1300万円の落札になったそうです。
コレクターし甲斐がある
こうして購入したデジタルイラストは、観賞用としてデジタル上で「飾る」ことも可能です。
デジタル上では美術館も建てることができるそうで、NFTコレクターはこの中に自分の買ったイラストを飾り、時にはお客さんを招いて自慢したりしているんだとか。
もはや別次元のような話ですが、実際にこのようなことがネット内で行われています。
一方問題になっていること

いい話ばかりしてきたNFTにですが、始まってからまだまだ日が浅いため、問題や課題も山積です。
環境問題

「デジタル上の話なのに環境問題?」と思うかもしれませんが、NFTにおいて環境問題は大きな問題となっています。
詳しい話は、下記のリンク先のYahoo記事を見て頂きたいのですが、NFTを発行する時には大量のエネルギー(電力)を消費するようで、これが大きな問題となっています。
そのため、様々な分野から意見や批判が出ています。
しかし、これについては朗報もあり、今後は環境に優しいクリーンな基盤でNFTを稼働させていくという声明も公式発表されているみたいです。
世界中で脱炭素社会を目標として掲げているのに、このままでは本末転倒です。今後の行く末に注目ですね。
法整備がまだ整っていない
NFTは始まってから年数が浅く、各国ではNFTに関する法整備を現在進行形で行っている最中です。これは日本も例外ではありません。
現時点では、NFT化したイラストが販売されても著作権は製作者側となっていますが、今後の法整備によってはどうなるかは分かりません。
この「NFTの著作権云々」の話については、とある有名なアーティストもNFT販売を一旦保留にするほど複雑な話になっています。
村上隆は、なぜNFTアートの販売を延期・再検討するのか
引用元:KAI-YOU(https://kai-you.net/article/80067)
自分のイラストが無断でNFT化されてしまう可能性もある
先ほど、「NFTを買うことにより、イラストレーターへの直接支援となる」とお伝えしましたが、NFTの仕組みを逆手に取られてしまうと、「自分のイラストが勝手にNFT化(唯一無化)にされ、そのNFTで売買取引をされてしまう」といった割と怖い事もされる可能性があります。
もし、自分のイラストが無断でNFT化されてしまったら、NFTの法整備云々以前に完全な著作権侵害ですので、自分イラストの元のソース(SNS等に公開した時の日付けが載っているデータ等が望ましい)を証拠として訴えることが可能だと思います。
NFTに関する法の整備はまだまだかかりそうですので、自分のイラストをNFT化して販売するのであれば、こういったトラブルを防ぐためにも「ネット上でまだ発表していない、完全未発表の作品」を上げておいたほうが無難化もしれません。
NFTを始める方は入念な下調べをおススメします

NFTについてザっと説明してきましたが、もしかすると今回の解説で興味が出てきた方もいるかもしれませんね。
今現在、NFTはバブルと言ってもいいほどかなり盛り上がっています。この先、盛り上がるか下がるかは神のみぞですが、どちらにしろ世界の将来に影響を与えるコンテンツですので、これを機会にNFTの世界に踏み入れてみるのもいい経験になるかもしれませんね。
再三お伝えしていますが、NFTはまだ日が浅く、法整備も整っていない状況です。NFTを始める前には、ネット上の情報をかき集め入念な下調べをすることをおススメします。
以下のリンク先は、今回の記事を制作するにあたり参考にした記事や、他の解説記事よりはも分かりやすい記事等を貼っておきましたので、ぜひこちらもご覧ください!
(デジタルの世界がさっぱりな私が読んでも、だいぶ分かりやすい記事でした。)
●クリエイターのためのNFT講座① – NFTってなに?[ピプクリト]
今回のこの記事を読んだ上で参照して頂けると、NFTについての理解力がだいぶ深まるはずです。記事の内容が分かりやすいですし、なおかつ可愛い挿し絵が散りばめられているので、活字だらけが苦手な方におススメの記事です。
●NFT解体新書・デジタルデータをNFTで販売するときのすべて【実証実験・共有レポート】
こちらの記事では、NFTで有名な会社の協力の元で行われた「NFTに関する実験とその課題」についてのレポートになります。こちらについては、NFTをある程度理解していないとなかなか入り込めませんが、NFTの善し悪しが細かく書かれておりますので、非常に勉強になります。
●絵描きが稼げる新たな販路、NFTアート市場について解説![イラストレーター生存戦略]
NFT×イラストを解説している記事は、おそらくこちらが一番分かりやすいかもしれません。私も日々愛読している「イラストレーター生存戦略」というブログになります。NFTアート展に関するお話も載っていますので、「NFTに関するイベントって、こういうのもあるんだね」と見聞を深めることができました。
実は、このイベントには出展者として私も参加させて頂きました。どういった催しなのか?果たして、イラストは売れたのか…?これらの話については、またの機会に紹介しようと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、「イラストレーターを救う?デジタル資産「NFT」について」、デジタルの世界が分からない方にもできるだけ導入しやすいように解説してみました。
今回の記事は、「NFTとはなんぞや?」といった、NFTに関する話の超上辺のところしか説明していません。実際はもっと複雑な仕組みになっていますので、NFTについて興味がわいてきたら、ぜひ他の記事も調べて見ることをお勧めします。
説明が長くなるため今回はあえて紹介しませんでしたが、NFTを買うためには専用のお金「ETH(イーサリアム)」が必要になります。分類的には「ビットコイン」みたいなようなものでして、こちらの貨幣でないとNFTを購入することはできません。
(※現金不可です!)
この機会に、ぜひ「NFT」について調べて見てくださいね!
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!