この記事の解説事項
・イラストを「趣味→仕事」にしていくと、どんな変化が起きるの?
・趣味と仕事の違いはどんなところ?
・プロ(イラストレーター)に向いている&向いていない人はどんな人?
無印かげひと(@kage86kagen)です!
イラストを趣味として描いている方にご質問ですが、将来イラストレーターを目指してみたいと考えている方はいますか?
社会人になった後に「イラストレーターになる」という方は少ないですが、学生さんの場合はイラストレーターに憧れている人が想像以上に多いそうです。
毎年、各企業や団体でアンケートを取っている「将来なりたい職業ランキング」でも、イラストレーターは常に上位に位置しているほど人気です。実際、私も学生の頃には「イラストレーターになりたい!」という夢を抱いていたので、成りたい気持ちは非常に分かります。
ところで、イラストレーターになる時に気になる事の一つとして、「今まで趣味としてやってきたことを仕事にすると、なんだかんだで描き続けられなくなってしまうのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか?人によっては、好きでやってたことが好きじゃなくなる事もあるかもしれませんね…。
ということで、今回は「イラストレーターになるには向き&不向きがある?趣味→仕事にする時の良い所と注意点」について、個人的見解と様々なソースを参考にしながら紹介したいと思います。
- 趣味→仕事として活動していきたいけれど、心境の変化が不安
- イラストレーターとしての活動が向き不向きの人ってどんな人?
などなど、趣味→仕事へ、アマチュア→プロとして絵を描いていきたい方向けのお話をしていきたいと思います。
趣味と仕事では何が違うの?

ところで、趣味としてイラストを描く事と、仕事としてイラストを描く事、これらはどのような違いがあると思いますか?なんとなくのニュアンスでなら分かりますが、いざ言語化しようとするとなかなか難しいのではないでしょうか。
趣味として描くか、仕事として描くか(イラストレーターとして働くか)の違いをざっくり説明すると、おそらく下記のような違いが起こると思われます。
趣味として | 仕事として | |
描けるイラストについて | 好きな物を好きなだけ描ける | 好きな物を描けないことが多い |
金銭的な事 | お金をもらうことなく描くことが多い(ただ、最近は”投げ銭”サービス利用者が増加) | イラストを描いた対価として、金銭をもらう |
締め切りや期限について | 趣味なので、当然締め切りや期限など他人に縛られる事なく描くことができる | 締め切りに追われる |
社会的信用 | 趣味なので、社会的信用というのは関係ないっちゃあ関係ない | 信用が無ければイラストで仕事を行っていく事ができない |
絵の上手さによる世間からの目線 | 絵が上手いと「上手い!」と言われる | 例え趣味の人と同じ画力で描いたとしても、「プロ」扱いされるがゆえに画力について何かと言われることが多い |
こうしてみると、趣味の場合は自分の気分次第で好きなイラストを好きなだけ描くことが可能です。
しかし、イラストを仕事としていく場合、お金のことはもちろんのこと「信用が無いと仕事がもらえず描けない」、「締め切りに追われることになる」などといった縛りが発生します。
逆に、イラストレーターとして活動をしていくと、「自分が描いたイラストが活躍している」、「イラストで報酬をもらうことができる」といった喜びが大きいのもまた特徴的です。
ただ、意外かどうかはその人次第ですが、イラストレーターとして仕事を行っていく場合、自分の好きなポーズやモチーフを使ったイラストばかり描いてしまうと、仕事のチャンスを逃してしまう事も多いです。
イラストレーターというのは、自分を第一優先して表現する「アーティスト」ではなく、依頼者の要望を第一優先にして絵を描く職業です。そのため、「イチゴを描いて」という依頼に対して「私はバナナが好きなのでバナナを描きますね」という方は、イラストレーターというよりも「アーティスト」として活動された方が良いと思います。
画家は、自分の描きたいテーマで作品を仕上げ、個展などで作品を売って収入を得ます。
クライアントから依頼を受けて描く場合もありますが、そのような機会はあまり多くはありません。
一方イラストレーターは、出版社や広告代理店、企業などのクライアントから依頼されて、イラストを制作します。
たとえば出版社から本に載せるイラストを依頼される場合には、イラストのテーマや大きさ、人物の表情から色の使い方まで、細かく指定されることもあります。
引用元:キャリアガーデン(https://careergarden.jp/gaka/gaka-illustrator-chigai/)
ただ、イラストレーターとして有名になってくると、その人自身に「ブランド力」がついてくるため、その人が主役となったコンテンツが展開される=自分の表現したいもので好きなだけ描くことができる…と言った逆のパターンも起こり得ます。
アーティスト気質のイラストレーターを目指したい場合は、上記のような展開に持っていくための手段や道のりを考えた方がいいかもしれません。
趣味と仕事の違いについてを書き記してみましたが、何となくのニュアンスだったものが具現化できたのではないかなと思います。
趣味を仕事にすることで起きる変化

次に、趣味を仕事として活動し始めた時に起こる心境の変化について説明したいと思います。これはまさに管理人が実体験してきたことですので、生の意見をお届けできるかもしれません。
自分はプロだ!という意識がついた
イラストを仕事にしていく事、対価としてお金をもらうことになります。趣味と仕事では「お金」についての意識が決定的に違いますので、初めてイラストでお金を貰った時、「ああ、私はイラストでお金をもらうことができたんだ…!これがイラストレーターなんだ!」と実感した覚えがあります。
自分のイラストスキルが認められて対価としてお金をもらえるということで、自分はイラストレーターなんだ!というプロ意識を確立することができます。
このプロ意識が芽生える事により、今後の仕事への取り組み、依頼先との調整について、さらに深く没入していくことができます。
自分の実力を体感することができた

また、イラストレーターになることで、自分の画力を客観的に見つめる事もできました。
イラストの絵柄や画力というのは、仕事の話が来るかどうかへの影響が想像以上に大きいです。そのため、例え自分のイラストに満足していたとしても、見ている側や依頼者の目線は本当に正直なため、イマイチなイラストであれば仕事の話もあまり舞い込んできません。
管理人自身も過去のイラストを振り返ってみましたが、「以前と比べて絵が上手くなったかも!自分のイラストに自信がついたかも!」と思えたタイミングで、お仕事の依頼が増えたような覚えがあります。
成り立ての頃はイラストを描く事が楽しめなくなっていた
趣味を仕事にする事でのマイナス面ですが、管理人の場合、実はイラストレーターに成った後の数ヶ月間は、イラストを描くことに多少苦痛を感じていた時がありました。小さいころからイラストを描いてきましたが、こんな気持ちになったのは生まれて初めてです…。
おそらく、これこそが「趣味を仕事にすることで、好きなことが嫌いになった」というよくありがちなパターンに陥っていたかもしれません。
冒頭で紹介した通り、仕事にしたことによって趣味の時に味わうことが無かった「締め切りに追われる」、「多くの仕事を獲得できるよう営業しまくったけど、結果が芳しくない」…という経験をすることになるからです。
趣味にはなかった”縛り”が起きる事により、「イラスト」というものに対して自然と嫌気が指してしまったのもしれませんね…。
現在は、考え方によってこの危機を乗り越える事ができましたし、その結果趣味として描いていた時よりもさらに楽しんで描けているような気がします。
イラストレーターに向き不向きの人

ではここからは、本題である「イラストレーターに向き&不向きの人」についてお話したいと思いますが、まずは先に「イラストレーターに向いていない人」について特徴的な一例を挙げていきましょう。
イラストレーターに向いていないかもしれない絵描き
- 自分のイラストに対して愛着が湧き過ぎている人
- 「修正して」に対しての不満が大きい人
- イラストを描くことに対しての目標があまり無い人
では、これらについて順を追って説明します。
自分のイラストに対して愛着が湧き過ぎている人
絵を描いている人、その中でも趣味→仕事にして本気で活動していきたい…と考えている方の多くは、もしかすると自分のイラストに愛着がわいているかもしれません。しかし、イラストを仕事としていく場合は、仕事で描いた時の自分のイラストへの過度な愛着は禁物です。
なぜかというと、丹精込めて制作したイラストが、必ずしも順調に活躍する…というわけではないからです。
もう少し詳しく例えると、企業の依頼で描いた渾身のイラストに対し、「このイラストは下手」といったアンチなコメントが寄せられる可能性があります。また、ゲーム用立ち絵として描いたイラストが「早いですが、○月○日にサービスを終了します」と発表され、すぐにお蔵入りになる場合もあります。
おそらくこういったことは、イラストレーターとして歩まれる方は一度は経験する事かもしれません。そういった時に、自分の制作したイラストに対して愛着が湧き過ぎている人の場合は、イラストの否定や使用中止されたことが「自分自身に対しての否定」のように受け止めてしまいがちだからです。
趣味として描いている人が自分の作品を愛することはとても良いことですが、イラストレーターとして活動する場合、自分のイラストを「我が子」のように思うのではなく、「商品」として思いきることが、自分の精神を守ることにも繋がります。
そのため、愛着が湧き過ぎている人は、イラストレーターのような「プロ」の道を考え直した方がいいか、「イラストはあくまでもサブ」というスタンスで、イラストを副業としてやっていくか等の道をとった方が良いと思われます。
修正に対して不満が大きい人

イラストレーターとして仕事をしてくと、毎回と言っていいほど起こるのが「依頼者からの修正の要望」です。この修正に対し、「いいや!絶対この構図がいいよ!」や「依頼者は描き手側の気持ちを分かっていない!」といったように”修正に対して強い不満”を抱く方も、イラストレーターとしてあまり向いていないかもしれません。
イラストレーター駆け出しの方だと特に不満に思いがちですが、イラストレーターというのは、自分の好きな物を好きなように描く「アーティスト」というよりも、依頼者の希望に沿って満足いくような制作物を作る「職人」のようなものです。そのため、依頼者が「こう直して欲しい!」という要望が上がったら、修正に対する強い反抗心を極力捨ていきましょう。
イラストを描くことに対して目標があまり無い人
「私はイラストを描いて○○になりたい!」「○○な仕事を引き受けたい!」といった目標が無い方も、イラストレーターに不向きかもしれません。
これはなぜかというと、目標を持たずに行動してしまうと、途中から何をしていいのかが分からなくなり、最終的にイラストレーターを挫折して違う道に歩む可能性が高いからです。
「ただ単に有名になりたい!」というかなり大雑把な目標よりも、「3年以内にゲーム業界で活躍できるイラストレーターになりたい!」や、「月○○万円を稼げるようになりたい!」などといった具体的な目標を持っている方が、さらにいいかもしれません。
「フォロワー数50万人超えの絵師になりたい!」などの「SNSフォロワー数目当て」などでもOKです。目標を持たずして進むよりは大分マシです。
「目標なんて定められないよ」「好きな時に好きなイラストを描いていきたいよ!」という方の場合は、イラストレーターとしての”制約”に縛られるよりも、趣味のままで活動した方が幸せかもしれませんね…。
イラストレーターに向いている絵描き

では、次に「イラストレーターに向いていそうな人」の特徴をいくつか挙げてみたいと思います。
- 人のためにイラストを描ける人
- 目標がある人
- コミュニケーションができる人
人のためにイラストを描ける人
イラストレーターというのは、「アーティスト」というよりも「職人」的な働き方です。
(画家とイラストレーター、アーティストと職人という境目は、今ではかなり曖昧になってきてはいるものの、少なくとも「イラストレーター=職人」というニュアンスを考えている方の割合が多いと思います。)
イラストレーターは、依頼者の意向に合わせてイラストを描く必要があります。そのため、「自分よりも相手」といったように、人のためにイラストを描ける人がイラストレーターに向いているかもしれません。
「いや!他人は二の次!自分が一番楽しめなきゃいやだ!」「自分の絵柄や世界観を貫いていきたい!」という思いがかなり強いタイプであれば、「アーティスト気質のイラストレーター」としての立ち回りをした方が良いと思われます。
目標がある人
「イラストレーターに向いていないかもしれない」の項目でも話しましたが、イラストレーターになって何をしたいのか?なんのためにイラストを描くのか?といった目標を持っている方が、イラストレーターに向いている可能性があります。
こちらについては先ほど説明したので、割愛します。
コミュニケーションができる人

イラストレーターを夢見ている人の中には、「イラストを仕事にすると、他の人とコミュニケーションをとらなくて済むから楽だよね…」と考えている方もいるかもしれません。しかし、プロになるからこそコミュニケーションというのは必須となります。
仕事をもらうためには、必ず「相手先」が存在することになりますので、「自分はコミュニケーションが苦手だから…」といって、相手からの電話やメールに対し「はい」しか言えないコミュニケーションだと、細かい調整を行うことができなかったり、お互い解釈がすれ違ったまま進んでしまうこともあるため、仕事として成り立ちません。
何も「社会人としてのマナーを身に付けてから始めろ!」というわけではありません。ありのままの日常の会話ができるだけでも、それで活動していく事が可能です。ただ、先ほどのような極端な例の場合だと、イラストレーターとして活動していくには少々不安です。
趣味→仕事にする時にはよく検討すること

さて、ここまで「イラストレーターに向き&不向きの人」についてを説明してきました。趣味でしか活動してきていない人にとっては、もしかすると初耳の話もあったかもしれませんね。
イラストに限らず、趣味として活動してきたものを仕事にする時には、「これを仕事にすることでどんな変化が起きるのか?」「今までと同様に絵描きが楽しめるのだろうか?」などといったように、「イラストレーターになったらどうなるんだろう?」という想像を事前にシュミレーションしてみる事が大事です。
「友達から上手いと褒められたから、私は絵師を目指す!」「このイラストがバズったから目指す!」といったように、一時的な気持ちの盛り上がりでイラストレーターを即目指すことは、今のご時勢ではあまりお勧めしません。考えすぎて足踏みしてまうのも良くありませんが、かといって見切り発車していくのも無謀かなと思います。
イラストを趣味から仕事にしてくことにより、自分の心境や身の回りの環境が確実に変わっていくと思います。得られるものもあれば失うものもありますので、ガチでイラストレーターを目指したい方は、まずはイラストレーターになった後の生活をあらかじめ想像してみてから行動に移してみる事をおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「イラストレーターになるには向き&不向きがある?趣味→仕事にする時の良い所と注意点」について解説をしてみました。
趣味から仕事として描くことによって、人によっては「イラストを描くのが嫌いになった」という心境の変化があった方もいらっしゃいます。それを防ぐためにも、あらかじめ趣味と仕事による違いについて事前調査しておくことが大切です。
一番大きな違いは、「イラストを描いた対価としてお金をもらうこと」ではないでしょうか?また、趣味→仕事に転換することにより、「プロ意識が芽生えた」、「自分の画力を客観的に見る事が出来た」、「成り立ての頃はイラストを描くことが苦痛に思えた」などといった心境の変化もあると思われます。
また、イラストレーターに向き&不向きの人の特徴としては、下記のような感じで表すことができるかもしれません。
●向いていないかもしれない人
・自分のイラストに対して愛着が湧き過ぎている人
・「修正して」に対しての不満が大きい人
・イラストを描くことに対しての目標があまり無い人
●向いているかもしれない人
・人のためにイラストを描ける人
・目標がある人
・コミュニケーションができる人
いずれにしろ、趣味→仕事に本気で転換したい方は、「自分がイラストレーターになったらどうなるんだろう?」といったように、一度でもいいので事前にシュミレーションをしてみる事をおすすめします。
イラストレーターという職業は、イラストレーター宣言してから数日で爆速有名になる人もいれば、数年数十年後にようやく名が知れ渡る…という方もいます。続けてさえいればいずれは花開きますので、イラストレーターとして活動される方はぜひとも頑張ってみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!