この記事では、以下のことについて解説しています。
●「瞳」の描き方は10年ごとに変化する件について
●2000年代、2010年代、2020年代ごとの瞳
●どの「瞳」の描き方が需要があるのか?
無印かげひと(@kage86kagen)です!
今回は、アニメや漫画の世界における人物イラストの表現についての話になります。その中でも、「瞳」に焦点を当てた「年代ごとの絵柄の移り変わり」についてご紹介したいと思います。
先日、この「瞳」についてTwitter上で何気なく呟いたら、かなりバズってしまいビビりました。このツイートは、自分への再認識のつもりで呟いたつもりでしたが、想像以上に多くの方に共感を頂いたみたいですね…。
近年の「瞳」の移り変わり。世間体に好かれる絵柄は、10年を節目に大きく変わっていくらしい。って記述を、どこかで見た。 pic.twitter.com/oYkw5SKzFI
— 無印かげひと@4月以降の納期募集中 (@kage86kagen) February 13, 2021
この呟き、実のところ140文字では語りつくせないほど「瞳」に関して話したい事がありまして、それを記事という形でより詳しく説明したいと思います。
今回は、そんな「年代ごとの瞳の移り変わり」について、
- どのような「瞳の描き方」が流行ったのか
- その瞳はどの世代に需要があるのか
といった事を重点的に、「瞳」について紹介していこうと思います!
もくじ
デザインは「10年ごと」に移り変わる

「瞳」を語る前に、まずは「デザイン」の移り変わりについてご紹介します。今回の「瞳の絵柄の移り変わり」にも大きく関わる話です。
デザインというのは毎年毎日、日々少しずつ変化しています。このデザインの歴史を説明する時は、分かりやすいようにあえて「年代ごと」に区別する媒体が多く、その中でも「10年ごと」に分けて紹介することがほとんどです。
参考リンク:「色の歴史」(一般社団法人 日本流行色協会)
https://www.jafca.org/colorhistory/
例えば、上記のリンク先の「色の歴史」を参考にすると、1970年代(1970年~1979年の10年間)には、俗に言う「ナチュラルカラー」という木材のような超薄茶色、オリーブのようなちょい濁った緑色…のような自然な色合いがトレンドでした。
こんな感じて10年を区切りとして時代を見ていくと、デザインは大きく変わっていくように見えます。(という言い方よりも、「10年ごとに変わっていく」ように表現している歴史の記し方が多いです。)
「瞳」の描き方も大体10年で「目に見えて変化する」
今回の本題である「人物イラストにおける瞳の描き方」についても例外ではなく、瞳の流行も毎年少しずつ変わっていきます。それを「10年ごと」で大まかに分けるとすると、以下のように分類されます。

それぞれどのような特徴があったのでしょうか?以降から、詳しく解説していきます。
2000年代(2000年~2009年)の特徴

●特徴的な描き方
・瞳上部に大きな白いハイライト
・瞳孔は割と小さめの黒
・目の枠線(主線)は全て「黒」
2021年現在での、「20代後半~40代」に最も高い需要があると思われる。
●大きな白いハイライト
瞳の左上、もしくは右上に「大きな白いハイライト」を載せるような作画は、「1980~1990年代」から描く方が多くなりました。このハイライトの描き方は、2000年代にも少なからず影響を与えているように思えます。
ただ、ハイライトの面積は時が経つにつれて小さくなっていっているように見えます。それでも2000年代はまだ大きめだと言えますね。そのため、もし2000年代の瞳を表現したいのであれば、「大きなハイライト」を意識して描くといいかもしれません。
「キューティーハニー」とか、「ガッチャマン」とか…。
ちなみに私は、「瞳孔を白抜き」にする瞳の描き方が好みです。

●瞳孔は割と小さめの黒
2000年代の瞳孔部分は、黒い小さめの円で着色されることが多いです。また、瞳孔が瞳の上の影部分とくっついたような描写も多く見かけます。

「金色のガッシュベル」(アニメの方)や
「犬夜叉」(アニメの方)などがこんな感じの瞳になっています。
●目の枠線(主線)は全て「黒」
もう一つ特徴的な点は、瞳の外側の線(いわゆる瞳の主線)は、全て「黒」一色で塗られていることです。このおかげで、2000年代に流行したイラストには目に迫力がある絵柄が多かったように見えました。
2010年代(2010年~2019年)の特徴

●特徴的な描き方
・瞳の面積が大きくなった(白目の面積が小さくなった)
・ハイライトはだんだん小さくなる
・瞳の中の色の「彩度の高低差が少ない」
・「まつげ」にも色をのせる
・瞳孔を「真っ黒」で描く作品が少なくなった。
2021年現在での、「10代~30代前半」に最も高い需要があると思われる。
●瞳の面積が大きくなった(白目の面積が小さくなった)
2010年代の瞳の大きな特徴としては、「白目の面積よりも瞳の面積が広くなった」ことが印象的です。おそらくですが、現実世界の人間の目に寄せてきたのかな?と思います。
●ハイライトはだんだん小さくなる
2000年代の大きなハイライトに比べると、ハイライトの面積はだいぶ小さくなりました。まるで「ちょん」と点をうつような感じです。また、2000年代以前はハイライトをくっきり見せるために、「ハイライト周りを黒線で囲む」描写が多く見受けられましたが、2010年代ではそういった描写が少ないです。
「魔法少女まどか☆マギカ」や
「化物語シリーズ」のような瞳でしょうか。
●瞳の中の色の「彩度の高低差が少ない」
これは少し難しい話になりますが、瞳の中の色の「明度(明るさ)」や「彩度(鮮やかさ)」の差が、比較的小さいような気もします。つまり、瞳の色が全体的に気持ち「同一色」っぽい印象です。

●「まつげ」にも色をのせる
他にも特徴的なのが、この年代から「まつ毛の上に黒以外の色をのせる」といった描写が多くなってきました。1980~2000年代だと、例え「紫色の髪」を持つ人でもまつげや眉毛が「黒」っていう描き方が多い印象ですが、その部分は2010年代だと細かく描かれるようになりました。
●瞳孔を真っ黒で描く作品が少なくなった
デジタル技術が進み着色作業が簡単になったおかげもあるのか、瞳孔部分にも多少の色をつけるようになりました。2000年代以前は「真っ黒」ですが、2010年代は「瞳のベースの色をちょっと暗くした」感じで着色しているように思えます。
2020年代(2020年~)の特徴
そして2020年~2021年…。
今の時代でよく描かれている瞳の傾向としては、とにかく鮮やかでキラキラした印象があります。デジタル技術がさらに加速したり、絵描きさんの作画レベルが全体的に底上げされてきた結果、このような瞳の描き方が増えたと思われます。

●特徴的な描き方
・瞳の映り込みまで描くように
・全体的に「つり目」が多くなった
2021年現在での「10代~20代後半」に、最も高い需要があると思われる。
●瞳の映り込みまで描くように
2000年代、2010年代の描写にはほとんど見受けられませんが、2020年前後から「瞳の向こう側の景色」、つまり「映り込み」も意識して描き込むようになりました。上記のイラストは屋外にいる場合を想定して描いたので、瞳の中には「青空を表した青っぽい色」も挿入しています。
ですので、青空の下にいるなら「青色」を、炎を目の前にしているなら「赤、オレンジの色」を瞳に描き込むことで、瞳の反射を表現することができます。こうすることでイラストのリアリティをさらに上げることが可能です
●全体的に「つり目」が多くなった
こちらはツイートを見た方からのコメントによってで気づかされた描写です。特に女性キャラに見受けられますが、ツンデレキャラに限らず温厚な性格のキャラであっても「若干つり目」気味に描かれていることが多い気がします。

「つり目だけど、キャラが全体的に優しそうに見えるのはなぜ?」というイラストもあるかもしれませんが、そういった時は目以外のパーツ、特に眉毛が印象を操作しているかもしれませんね。
どの瞳にも需要がある

さて、ここまで「3つの時代」の瞳を紹介してきました。これらの瞳と自分の絵柄を見比べた結果、もしかすると以下のような感情を抱くかもしれません。
「俺(私)は、昔から絵柄が変わっていない…。」
「2000年代から取り残されていたんだな…。」
「やっぱり、最新の絵柄の方が需要があるよね…。」
実際、引用RTでも上記のように少し落ち込んだ様子のコメントが散見されました。しかし、それと同時に「2000年代の描き方が一番好き」、「2010年代が一番好き」というような反響もありました。
そう考えると、
この絵柄が好き!と
この絵柄を描くのが好きが!
といった意見が均衡を保っている気がするので、実質どの瞳にも需要があるんじゃないか?と思っています。
ですので、「私の絵柄は2000年代から止まっている…」と嘆いている方、そのままその絵柄を好きなだけ描いていきましょう!
ただし「好きな絵柄を描く」は「趣味」に限る
ただし、先ほどの話は「趣味の絵描き」の場合に限ります。
趣味から飛び出して「プロ」のイラストレーター、プロのクリエイターとして仕事をしていくのであれば、「2000年代の絵柄でずっと描いていくぞ!」という考えは、正直言って危ないです!
「今の絵柄にはついていけない!俺は1980年代の絵柄で稼いでいくんだ!」と決心するのもいいかもしれませんが、少なくとも「1980年代」に流行した絵柄は、「今現在」での需要が少ないと思われます。2021年には「2021年で流行している」絵柄に最も需要があるためです。
たとえ話をすると、「2000年代」で活躍したイラストレーターさんが、
・2021年でもずっと活躍している
・2021年ではすっかり見なくなった
といった両極端な事象を見かけた方も少なくないと思います。
上記のような現象になる一つの要因としては、前者は「絵柄を流行に合わせて少しずつ変化させている」ため、今現在も流行に遅れることなく需要があるので、「人気イラストレーター」のままとして活動できています。
逆に後者については、「流行よりも自分の絵柄を優先させたため、流行から外れてしまった現代では需要が少なくなった」と考えられます。
絵を描く人たるもの、「世界で一つだけの自分の絵柄で、ずっと活躍していきたい…」と思う方がほとんどだと思われます。ですが、長期的に絵で収入を得るためには、時代の流れに合わせて絵柄を変化させていくことも大事だと、個人的には思います。
イラストレーターとして長期的に活動したい方は、こういった「流行」も意識して物づくりをするといいかもしれませんね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、「年代ごとの瞳の移り変わり」について紹介しました。瞳一つとっても、時代ごとに描き方が変わっていくものなんだと感じることができました。
今回は「2000年代」、「2010年代」、「2020年代」についての瞳の描き方の特徴的な部分を詳しく紹介してきました。2021年より先の未来はどのような瞳が好まれていくのでしょうか?
でも、どの時代の絵柄にも需要は存在しているので、趣味で描く分には流行を気にせず好きなものを描いていくといいでしょう。
ただし、それは「趣味」の話であって、これからプロのクリエイターとして長く活動していく方にとっては、常に最新の流行を把握し、それに合わせた描き方も念頭に入れておいたほうがいいと思われます。
2020年代の現代で、1990年代の描き方に固執し過ぎると、「需要が少なくなる=仕事が減る」ことに繋がります。
ということで、今後とも素敵なお絵かきライフをお過ごしください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
それでは!
ペイントソフト CLIP STUDIO PAINT 無料体験版のダウンロード
