イラスト技法&練習方法

年代ごとの「絵柄の移り変わり」について

この記事では、以下のことについて解説しています。

●アニメにおける絵柄の”10年ごとの移り変わり”について
●1990年代、2000年代、2010年代(+2020年代)ごとの絵柄
●昔のアニメテイストの絵を描きたい方向けに、各年代の特徴をご紹介

こんにちは!イラストレーター無印かげひと(@kage86kagen)です!

以前、「年代ごとのイラスト絵柄の変化」について紹介したくなり、年代ごとの「瞳の移り変わり」についてという記事を制作しましたが、こちらをTwitterで紹介したところ、実に多くの方から反応を頂きました

今回は、「絵柄全体」に焦点を当てて絵柄の歴史を辿っていこうかなと思います

  • アニメキャラクターの絵柄の歴史を辿ってみたい方
  • ○○年代のようなイラストを描いてみたい方
  • 狙ったターゲット層に向けて、イラストを描きたい方

などなど…、各年代の絵柄の特徴についても事細かに説明してみましたので、イラスト制作のお役に立てれば幸いです。

それでは、いってみましょう!

今流行っている絵柄ってなに?

いきなり質問ですが、現在はどんな絵柄が流行っていると思いますか?

コーヒーさん
コーヒーさん
うーん、丸顔で大きな目をしたキャラクターを描く人が多いような気がするけど…?
ワインさん
ワインさん
でも、最近のアニメ化の傾向は、昔のアニメのリメイクだったり数十年前に連載が終わった漫画を初アニメ化していることが多いので、何の絵柄が流行っているかというのは、一概に言えないかもしれませんね…。

おっしゃる通り、もしかすると「今は○○な絵柄が流行りだ!」とはっきり言えないのかもしれません。

2020年代に突入してからは、2010年代の作画力にさらに磨きがかかった「カラフルで三次元寄り(写実的)な絵柄」が主流になるのかな?と思いきや、1990~2000年代のアニメがリメイクされたりする流れのおかげもあるのか、1980~1990年代のレトロ的な絵柄を好んで描く人も多くなりました

つまり2020年代は、今まで流行した絵柄が一斉に流行りだしているのかもしれません。…そう考えると、逆に現在は突出して流行っている絵柄は無いのかもしれませんね。(2021年現在では…)

年代ごとの流行りの絵柄がごっちゃになっている現代

先ほども言いましたが、2021年の今では、1980年代や1990年代に流行った絵柄が割と人気だったりしています。いわゆる「レトロブーム」というやつですね。

コーヒーさん
コーヒーさん
そうそう。なんだか最近、「平成レトロ」って言う言葉をよく聞く気がするなぁ。

他のイラストレーターさんを追っかけ続けた管理人が見る限り、このようなレトロブームは、2015~2017年あたりからちらほら始まっているように見えました

なんでそう思うのかというと、私は毎年発刊されている「ILLUSTRATION」(イラストレーターがたくさん紹介されている書籍)を買って読んでいますが、その中で「レトロっぽい」絵柄で描くイラストレーターが、年々増えていっているように見えるからです

 

2021年現在でも例外ではなく、人気絶頂のアーティストのMVにも、「昭和・平成レトロ」っぽいイラストが起用されていたりします。

他にも、つい最近見かけたもので例を挙げると、「プリン」「ゼリー」といった食品のパッケージに、1980年代」風の絵柄で描かれているイラストが...!

こうしてみると、1990年代の絵柄が時代遅れ…とか、2020年代はこの絵!…という区別は無く、どの絵柄にもある程度需要があるということが分かります。

キャラの絵柄は10年ごとに大きく変わる

デザインというのはおよそ10年ごとに区切って変化の比較が行われることが多いです。

アニメの作画についても例外ではなく、1990年代2000年代2010年代(+2020年代)と10年事に区切って比較している方が多数いらっしゃいました。その有志達がまとめた記事等を見ると、やはり思っている以上に絵柄が変化していることがわかります。

この「デザインは10年事に変わる」という話は、前の記事である年代ごとの「瞳の移り変わり」についてに解説していますので、こちらも合わせて読んでみてください!

各年代ごとの絵柄一覧

では、ここからは本題である各年代でよく見かけたアニメの絵柄についてご紹介したいと思います。今回は、「1990年代」、「2000年代」、「2010年代(+2020年代)」の3つの時代を紹介していきます。

この時代は髪がこんな感じだったなぁ」「服はこんな感じだった!」…というように、各時代でよく描かれていた特徴をかいつまんで説明しているので、○○年代の絵柄を表現したい方はぜひ参考にしてみてください!

1990年代

●特徴的な部分
主線で描かれていることが圧倒的に多い
・”しっかり””かっちり”描いている
・頬の描写もしっかり描くほどキャラの主線はかっちり固めに描かれている
・特に紙の毛束の描写が固め
・全体的に色がくすんで見える etc…

1990年代に放映されたアニメといえば、「魔法騎士レイアース」、「地獄先生ぬ~べ~」、そして、新劇場版が完結したばかりの「新世紀エヴァンゲリオン」などが放映された時代です。

有名なアニメのキャラクター達を見て頂ければ、「なるほどね~」と思ってくれるかもしれません。

ちなみに、「色がくすんで見える」というのは、この時代の制作環境や映像技術が理由でもあります。この頃は、アナログ(セル画)で制作するアニメ会社がほとんどでした。

かげひと
かげひと
パレットに出す絵の具の色は、例え「赤色」と表記されていても、パッケージ通りの色では出てきませんどうしてもくすんで見えます
それに加えて、当時のテレビは今と違いブラウン管でしたので、今と比べるとどうしても映像技術が劣っていました。
「色がくすんで見える」のは、これらの理由があるからだと思います。
コーヒーさん
コーヒーさん
その時代と比べると、今の液晶テレビは本当に綺麗に映し出されるよね。

昭和レトロ」や「平成レトロ」な雰囲気のイラストを描きたい方は、線画のほかにも「」に気を付けて描写すれば、レトロな雰囲気イラストを作ることも可能です。ぜひ、ご自身のイラストで実験してみてください!

2000年代

●特徴的な部分
・全体的に色が鮮やかになった(見える)。
線画に丸みを感じるようになった
髪のハイライトは「白」ではなく白に近い色で塗られることが多くなった

2000年代で有名なアニメといえば、「犬夜叉」、「銀魂」、「涼宮ハルヒの憂鬱」などが当時の若者に人気でした。2000年代のアニメ作品というのは、日本=アニメという位置づけを、世界にさらに広めていった作品が多いような気がします。

2000年代の絵柄で最も特徴的なのは、「色の鮮やかさ」です。これは、1999年~2000年に、ほとんどのアニメ制作会社がアナログ→デジタルへと環境を移行していった時代でもあります。そのため、「」は「」で表現することが可能となり、結果的に「鮮やか」なアニメが出来上がありました。

ドローイングソフトの歴史はセルシスの歴史~『CLIP STUDIO PAINT』に至るまで

デジタルツールは1991年から作り始められ、セルに色を塗るという工程をデジタル化した『RETAS』(現在の『RETAS STUDIO』に至る原型)が完成。1993年ごろに動画大手の東映動画(現東映アニメーション)がこれを採用し、いち早くアニメをデジタル化したことにより、周囲の会社にも同ソフトが浸透。

2000年になるころには、ひととおりのアニメ製作会社には行き渡っていたという。

引用元:CELSYS(クリスタ開発元)
https://www.celsys.co.jp/special_topics/famitsu

色以外の特徴的な部分をあげると、キャラの描き方が”カクカクしたしっかりめ”から”少し丸みを帯びた線画”が目立つようにりました。

アニメの元ネタ(漫画やライトノベルなど)のイラストのキャラは、線画が「カックカク」描写だったのに、アニメ化した時には「あれ?顔がちょっと丸くなった…?」という作品も少なからずあったように思えます。

かげひと
かげひと
あえてあげるとすれば、「キノの旅」や「最終兵器彼女」…などが、原作よりも気持ち丸顔になった、かな…?

また、服のシワの描写についても、1990年代と比べると常に細かく描かれるようにみえました。これが1990年代のアニメの場合だと、テレビアニメ版と劇場アニメ版では、服のシワへの力の入れようが違ってみえました。
そうした点で見ると、2000年代はテレビアニメ版も劇場版も、作画力にあまり差はないように思えます。

以前、「瞳の絵柄」についてツイートしたところ、「俺の絵柄は2000年代で止まったままだ…」という方の意見がとても多かったです。実際、2000年代の絵柄が一番好きだという方が今でも多いようです。

ですので、2000年代の絵柄が好きな方は、無理に2010~2020年代の絵柄に矯正しようとせずありのままの絵柄で描いても需要があるかもしれませんね

かげひと
かげひと
…まぁ、これはプロになると話が違ってきますが。イラストレーターとして長期間活躍し続けるためには、常に流行を追い続けその時代にあった描写を取り入れていかないと、時代に取り残されてしまい、気づくと仕事が少なくなっているかもしれません…。
コーヒーさん
コーヒーさん
…自分の絵柄で食っていくのって、予想以上に大変なんだね。

2010年代(+2020年代)

●特徴的な部分
・前髪のもこっ表現が少なくなった
鼻の描き方がかなり簡略化してきた
・女性キャラについては、手の描写が気持ち小さく描かれるようになった
口の開き方が小さくなった
・常にオーバーレイ描写反射光なども描かれるようになった

2010年代は、アニメ会社以外はもちろん、全国の絵描きさんに「デジタルソフト」が普及した時代です。そうした中、デジタル技術は年々あがっていき、通常のテレビアニメであっても「グロー」や「オーバーレイ表現」などの描写が見られるようになりました。

ワインさん
ワインさん
現代のテレビアニメは「劇場版か!?」と思うほど、毎週綺麗な作画ですよね。アニメ業界の方の苦労が伺えます…。

2010年代は、体の描写も特徴的な部分が多いです。一つあげるとすると、女性キャラの手が現実よりも一回り小さく描かれることが多くなったような気がします

実際の女性の手を広げてみると、顔の表面を覆えるぐらいまで面積が広くなります(個人によりますが。)年々三次元寄りの描写になっていく中、手の描写だけは「まさにアニメ」っていう感じに思えますね。

コーヒーさん
コーヒーさん
でも、実際に女性の手は男性と比べると小さめの方が多いからね。女性の手を小さめに表現することで、”女性らしさ”をさらに醸し出すことができるんだろうね。

鼻の描き方については2000年代からかなり簡略化されてきていますが、2010年代からはさらに小さく描かれるようになりました。(各アニメを平均してみると。)

近い将来、主線の「黒ぽつ」描写すらなくなり、影のみの表現となってしまう…なんてことになるかもしれないですね..。

どの絵柄にも需要がある

さて、ここまで3つの時代の絵柄を紹介してきましたが、みなさんはどの年代に近い絵柄でイラストを描かれていますか?もしくは、どの時代の絵柄が好みでしたか?

冒頭でもお伝えしましたが、2020年代に入ってからは「この絵柄が流行っている!」というような突出した絵柄はなく、むしろ今の絵柄に加えて、一昔前の絵柄も流行っているような状態です。

転じて、現在はどの絵柄にも需要があると言えます。ですので、「自分の絵柄は古臭いんだ…」と嘆き、無理矢理今の流行りの絵柄に合わせる必要は無いと思います。今回の記事についても、「時代によってこうやって変わったんだなー」ぐらいで楽しんで頂いけたら嬉しいです。

もし、特定の年齢層にターゲットを絞った企画を展開するのであれば、今まで説明した時代ごとの特徴を押さえてイラストを制作していくと、それとなくその時代っぽい雰囲気のイラストを表現することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は、年代ごとの「絵柄の移り変わり」について、3つの時代の絵柄を説明してきました。

2020年代に入ってからは「カラフルで三次元寄り(写実的)な絵柄」が目立つようになりましたが、かといってそれが流行として突出しているわけではなく、「昭和レトロ」や「平成レトロ」といった、昔に流行った絵柄も人気が出始めているようにみえます

絵描きが趣味の方の中には、「俺の絵柄は2000年から止まったままだ…」と落ち込む人もいるかもしれませんが、その必要はありません。むしろ、「2000年代の絵柄が好き」、「1990年代の絵柄のままで、作品をもう一度アニメ化してほしい」といった意見も多く存在します。

そう考えると、現在はどの絵柄にも一定数の需要があるといえますので、無理に現代風の絵柄に矯正する必要もありません。「みんな違ってみんな良い」です。

将来はどんな絵柄が流行するのか楽しみにしつつ、今日もお絵かきライフを楽しんでいきましょう!

最後までご覧いただきありがとうございました!

それでは!

 

P.S
前回の「年代ごとの瞳の移り変わり」について記事をご覧になりたい方は、以下のリンク先からどうぞ!

年代ごとの「瞳の移り変わり」について

イラストレーターを目指す会社員(退職準備中)
無印かげひと
「少しエモいイラスト」と、「ビジネス向けイラスト」の2種類の絵柄を使い分けるフリーランスイラストレーター。コーヒーとワインと無印良品が好き。