※今回の記事はストックイラストを作成している方向けにはなりますが、イラストを時短で「水彩風」にしたい方にも参考になる記事です※
この記事では、以下について解説しています。
●ストックサイトでも需要のある「水彩風イラスト」について
●既存のイラストを3分で水彩風イラストにする方法
無印かげひと(@kage86kagen)です!
ストックイラストを投稿している方にご質問ですが、投稿しているイラストの絵柄は何種類投稿されていますか?
ストックイラストで活動される方は、自分なりのアイデアでイラストを投稿し、収益に繋げられるよう努力していると思われます。ちなみに、ストックイラストの購入者は、「漫画風の絵柄」を求めている人もいれば、「水彩風」のような淡い感じのイラストを求めている人など、購入者の数ほど求められている絵柄も違ってきます。
より多くダウンロードしてもらい、大きな収益に繋げたいという方であれば、1種類の絵柄で販売するよりも「2種類以上」の絵柄で販売した方が、購入確率が上がります。
だけど、ただでさえイラスト制作は時間がかかるのに、もう1種類絵柄を増やすなんて到底できっこない…と思っている方、その気持ちはすごく分かります。しかし、「水彩風イラスト」も展開していきたいと思っている方については、既に制作したイラストにひと手間を加えるだけで、簡単に水彩風イラストを制作することも可能です。
ということで今回は、元のイラストを3分で「水彩画風」にする加工方法を紹介したいと思います!
今回は「CLIP STUDIO PAINT」を使用している方向けの話になります。記事後半には、実際のメイキング動画も添付していますので、ストックイラストでさらに収益を上げたい方、新しい絵柄を開拓したい方はぜひ参考にしてみてください!
ストックイラストでも需要がある水彩画風

イラストには様々な絵柄や描き方が存在しますが、その絵柄に需要があるかはイラストを使用する人によって大きく異なります。漫画風、シンプルイラスト、油絵風などといった絵柄も人気ですが、とりわけ水彩画風の絵柄は昔から需要が高く、こちらのイラストを使用することで下記のような印象を見る人に与える事が可能です。
- ちょっとした上品さを醸し出したい時
- 水彩画特有の柔らかい雰囲気を与えてたい
- 見る人に安心して見てもらうために使用
- 高齢者をターゲットとしたい時
他にも様々な用途場所はたくさんありますが、上記のようなシーンを求めるために水彩風の絵柄イラストを求める方も多いです。
各ストックサイトで投稿されているイラストを見て見ると、実にに様々な絵柄のイラストが投稿されています。水彩画風で投稿されている方も多く、ストックサイト内で「水彩画風」と検索すると、6万件以上のイラストがヒットします。
このように、水彩画風イラストも需要が高いため、ストックサイトでより多くの収入を得たいのであれば、この絵柄も投稿しておきたいところ。でも、水彩風を作るには想像以上に時間がかかりますし、水彩画に関する知識をある程度身に付けておかないと、制作したイラストが水彩画っぽく見えなかったりします。
そこで、個人的なやり方にはなりますが、普通に描いたイラストを約3分で水彩画風のイラストに見せるやり方についてを、以降からご紹介したいと思います。
この方法で描写すると、水彩画にあまり知識が無い方でも水彩風イラストに見せる事が可能かもしれません。
水彩風にする前の下準備
さっそく加工していきたいところですが、水彩風イラストに加工する前にはちょっとした下準備が必要です。まずは、加工するイラストの「主線」をなるべく描写しないようにしていきます
様々な水彩画を見て頂けると分かりますが、水彩画は主線に頼らない表現方法が一般的な為、主線をくっきり引いていない作品がほとんどです。
そのため、元イラストで主線を描写している場合は、あらかじめ主線レイヤーを削除しておくか、イラストのベースの色を主線の上から上書きしたりなどをして、主線を消しておくことをおススメします

準備ができたら、いよいよ水彩画風に加工していきます。
水彩画風イラストに加工してみた
言葉で説明するのも中々難しいので、元イラストを水彩画風に加工している様子をまるっと撮影してみました。全体的な流れは下記の動画のようになります。
…いかがだったでしょうか?
「ちょっと何を言っているか分からない…」状態の方向けに、詳しい解説をしていきます。
①クリスタ内の「素材」タブから「テクスチャ(単色パターン)」→「鉛筆」を取り出す。素材内のテクスチャをドラッグ&ドロップでレイヤータブの上に持ってくることで、その素材のレイヤーを簡単に作る事が出来る。この素材を「オーバーレイ」に変換し、不透明度を少し下げる。
まずは水彩画風のタッチを表現したいので、水彩画っぽいテクスチャを被せていくさ行です。今回はクリスタに初期装備されている「鉛筆」テクスチャを利用します。より画用紙っぽい素材で表現したい方は、素材サイトかクリスタ内で有志が提供してくれている素材を利用するといいかもしれません。
この素材を、イラストレイヤーの上で新規にレイヤーを作ります。その後、素材レイヤーの「合成モード」を「オーバーレイ」にしていくことで、下記のイラストの色になじんだテクスチャをかける事が可能です。ただし、素材レイヤーの色が強くなりすぎないように、そのレイヤーの不透明度を少し下げておきましょう。こちらはお好みでどうぞ。
②画用紙の質感をもっと出したいので、「鉛筆レイヤー」を選択→テクスチャを拡大させる
今回はストックサイトで規定されている最大サイズで販売したかったため、「5000×4000」ピクセルで作っています。ただ、キャンパスがこんなに大きいと、テクスチャレイヤーを普通に置くだけでは「鉛筆の質感」が見えにくいので、テクスチャレイヤーを拡大しました。
③テクスチャレイヤーの上に新規レイヤーをつくり、合成モードを「オーバーレイ」に選択、これも不透明度を少し下げる
④「エアブラシ」→「柔らか」を選択し、「新規レイヤー(オーバーレイ)」で、光の部分を明るい色で、影部分を青系の色で塗っていき、透明感を出していく
水彩画は、どちらかというと写実っぽく表した方が水彩画に見えるので、新規レイヤー(オーバレイ)で、「光と影の表現」をしていきます。
まずは「光」。下記のイラストにも描いていますが、今回の場合は光の光源を「左上」に設定しています。当然、光源に近いところが明るいので、レモンの左上を「明るい色」で塗っていきます。

次に、「影」の部分を描写していきます。こちらは青系統の色で塗っていきます。
影を描写していく場合、単純に黒で塗ってしまうと不自然に見えがちです。現実世界の影は単純な黒色ではなく、様々な有彩色が重なり合ってできたものになります。そこを考慮し、今回は青系統の色で重ね塗りをしました。
⑤「元イラストのレイヤー」、「鉛筆テクスチャレイヤー」、「新規オーバーレイレイヤー」、3つのレイヤーを選択してレイヤーを結合する
(「レイヤー」→「選択したレイヤーを結合」)
ここからは全体的に加工していきたいので、レイヤーを全て統合します。
⑥着書されている部分だけ編集できるように、レイヤーの「透明ピクセルをロック」する
クリスタ内の機能にある「透明ピクセルをロック」はかなり便利な機能でして、この設定にチェックマークを入れると、そのレイヤーに描かれた部分しか色が塗れなくなります。逆を言うと、透明部分には何も描写が出来ないので、線をはみ出して塗りたくない場合には有効的です。
ただ、ここで一つ注意ですが、水彩特有の「はみ出し」や「ぼかし表現」を過度に表現してしまうと、png形式でストックサイトに投稿する際、NG判定を食らう場合があります。
そのため、水彩画風イラストをpng形式でもアップしたい方は、「はみ出し」、「過度なぼかし」表現は抑えめにすることをおすすめします。

➆さらに水彩風な雰囲気を出していくため、筆ブラシの「リアル水彩」→「粗い水彩」を選択、影部分を中心に色をのせていく
さらに水彩画風な雰囲気を見せていくため、上記のブラシを選択して色を載せていきます。全体的にのせるていくのもOKですが、特に影部分に塗った方が水彩画特有の「水によるにじみ」を表現することっができます。
⑧色の境目がくっきりし過ぎたので、ぼかすために筆ブラシの「水彩」→「水多め」を選択、メインカラーの「黄色」で色の境目をぼかしていく
完成まであと少しです!さらに水彩画っぽく見せる工夫として、色がくっきりし過ぎている部分を和らげるために、「水多め」のブラシを選択して、レモンのメインの色と似たような色で境界線をなぞっていきます。影の部分も同じようになぞっていきます。
⑨最後に水彩画の淡い色合いを出したいので、「編集」→「色調補正」→「トーンカーブ」で色を淡くしていく
最後の微調整として、クリスタメニューの「編集」→「色調補正」→「トーンカーブ」を選択し、全体的に色を淡く薄くしていきます。
「トーンカーブ」は「彩度や明るさ」を一度に変更することが可能なので、通常のイラスト制作でも重宝しています。

かなり長い説明になりましたが、以上が「水彩画風」の加工の詳しい解説です!この加工方法になれてしまえば、およそ3分ほどで水彩風イラストに加工することが可能です。こちらの方法を試してみるもよし、自分なりにカスタマイズするもよし…。ぜひ、参考にして頂ければと思います。
より詳しい水彩画風の塗り方を知りたい方は…
今回はあくまでも「水彩画風イラストを時短で加工する方法」を紹介しましたが、本格的に水彩画風の塗りを極めたい方は、水彩画専門の参考書籍やサイトがたくさん存在しますので、そちらを調べて頂けるとより詳しい描画方法を知ることが可能です。
ということで、水彩画風イラストを描く時に参考になった書籍を掲載しておきます。
人気テレビ番組「プレバト!!」内はきっかけで、若い世代にも認知度が一気に広まった水彩画家「野村重存」さんの参考書籍になります。この方が描く水彩画は本当に写実的で、とアナログで水彩画を描く時にとても参考になります。
デジタルペイントで水彩画風塗りを行いたい場合は、こちらの書籍がおススメです。こちらは様々な塗り方メイキングが集まっていますが、本の画像右下が水彩画風イラストになります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回はストックサイトを制作している方向けということで、「元イラストを約3分で水彩画風に加工する方法」を紹介しました。
ストックサイト内では、水彩画風イラストもかなりの需要があります。自分の絵柄で描いたイラストに加え、水彩画風イラストも投稿できれば収入アップにつながるかもしれませんが、新たに絵柄を開発するのは時間がかかります。
ですが、自分のイラストをおよそ3分で水彩画風イラストに加工することが可能です。今回はクリスタでの加工方法を紹介しましたが、手順さえ覚えれば3分を切っての加工が可能となります。
かなりの時短で水彩画風イラストを制作することが可能なので、ぜひとも試してみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!
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