この記事では、以下のことについて解説しています。
●ストックサイト「PIXTA」にEPSデータを投稿する時の注意点
●販売NGとなってしまった時の修正方法
今回の記事は、ストックイラストに関するお話になります。
ストックサイトは多数存在しますが、その中でも特に「PIXTA」の利用率が多いように見えます。
こちらのPIXTAにイラストを投稿する際、「EPSデータ」というベクター形式のデータを投稿される方も多い事でしょう。ただ、EPSデータの審査に引っ掛ってしまい、販売NGを経験した方、多いのではないでしょうか?
特に、illustrator初心者の内は何度か経験することになるかもしれませんね。
PIXTAには「EPSを提出する際のガイドライン」という丁寧なガイドラインページがありますが、illustrator初心者にとっては単語そのものの意味が解らず、「???」になってしまうかもしれません。
また、EPSデータを修正して再度提出したとしても、またNGになって「もういいや…」と投稿諦めた方もいるのではないでしょうか?
そこで、今回は「PIXTAでEPSデータがNGになった時の修正方法」についてご紹介したいと思います。販売NGになった際の「運営からのメッセージ」に対しての「データの修正方法」を、なるべく分かりやすく解説していきます。
それでは、いってみましょう!
もくじ
EPSデータのガイドライン

まずは初めに、「EPSデータの販売NGって、なんぞや?」から軽く説明していきましょう。
ストックサイトにイラストデータを投稿した際は、サイト運営側で「データの破損はないか」、「イラストに不適切な箇所がないか」などを審査してもらうことになります。
EPSデータを投稿した時も同様に確認してもらいますが、EPSデータそのものに不具合があったり、illustratorで制作した時の「パス」などに不具合が見られる場合、このままだと販売できないので投稿者に確認してもらうために、EPSデータのみ「販売NG」として差し戻される事があります。
これが「EPSデータの販売NG」というものになります。
ちなみに、先ほども出た「EPSデータの差し戻し」というのは、私が知る限り「PIXTA」しか行っていないNGの出し方です。私は現在、PIXTA以外にも4社ほどストックサイトに登録していますが、PIXTAでNGだったものが他のサイトでNGにならず、そのまま販売されていたりします。
※参考として、PIXTAで公開されている「ベクター素材ガイドライン」と、「EPSリジェクト(販売NGということ)理由の一覧」のリンク先を貼っておきます。EPSデータもPIXTAに投稿される方は、必ず一読ください!
EPSデータのNG解決方法

JPGとEPSデータの内容が異なります
リジェクト理由に「JPGとEPSデータの内容が異なります」と書かれている場合、文字通り提出したJPGデータとEPSデータで画像が違ってるので、JPGデータとまったく同じイラストが表記されているEPSデータを投稿しなおす必要があります。
あるんですね、これが…。管理人も実際にやってしまいましたが、EPSデータを保存した後に、「あ、このキャラのここが違和感あるかも…」とイラストを修正するも、EPSデータに出力し直さずそのままJPGデータだけ保存し、その流れで投稿した…ということがあります。
ストックイラスト作りは、慣れてしまうとどうしても流れ作業になりがちなので、イラストを修正したらEPS&JPG(PNG)データを再度出力し直すことを忘れてはいけません。
このリジェクトを貰った時は、JPGデータとEPSデータでどこが違うのかを探すことがなかなか難しいです。一番の解決方法としては、投稿済みの作品を一旦削除し、再度上げなおした方が効率的がいいと思います。
互換のEPSファイルをアップしてください
「Adobe Illustrator 8.0〜CS2互換のEPSファイルをアップロードしてください。」
こちらもよく発生しがちなエラーです。PIXTAの場合、投稿するEPSデータのバージョンは「Adobe Illustrator 8.0〜CS2互換」が指定しされています。
EPSデータを保存する際には、上記のバージョン範囲内で保存しないと、一発で販売NGされてしまいます。このNGは特にillustrator初心者の方がやってしまいがちかもしれませんね。
この解決策は、EPSデータを保存する時の画面に表示される「バージョン」から、「illustrator 8 EPS」を選択して、データの保存を行いましょう。

テキストのアウトライン化
「テキストがアウトライン化されていないため登録できません。」
こちらも、投稿する際に割と見落としがちな内容だと思います。購入者側の不具合を無くすため、PIXTAでは「テキストのアウトライン化」をするように指示が出ています。
こちらの解決方法は、illustrator内のテキストデータを選択した状態で、
- 「プロパティ」タブ→「クイック操作」→「アウトラインを作成」をクリックするか、
- illustrator上部にあるメニューの「書式」→「アウトラインを作成」
このどちらかを行えば、文字のアウトライン化が可能です。
画像データが破損しているため…
「画像データが破損しているため、登録することができませんでした。」
上記のメッセージが添えられていた場合、「あれ?EPSを保存する時に、パソコンで不具合が起きたのかな…」と思いがちですが、これはPIXTA側の不具合の可能性もあります。
実際、今月の頭には「PIXTA側のアップロードのシステム不具合」により、EPSデータを投稿しても上記の「画像データが…」という理由でリジェクトされ続けました。
2021年4月5日 ベクター素材のみアップロードシステム不具合発生のお知らせ
ただし、ただ単にこちら側の投稿時の不具合による場合もあります。いずれにしても、上げ直しは必須です。
EPSデータを投稿しても繰り返しNG判定されるが、PIXTA側に問題が起きていない(お知らせなども出ていない)場合は、「自分が使用しているillustratorかパソコン」の不具合による確率が高くなります。
何度試してもダメな場合は、
- illustratorをアンインストールし、再度インストールする
- ソフト開発元のAdobeに問い合わせる
などといった方法をお試しください。
塗りのオープンパスおよび孤立点…
「塗りのオープンパスおよび孤立点を含む素材は登録できません。」
おそらく、リジェクト理由の中でも、こちらの理由によくぶつかる方は多いのではないでしょうか?特にillustrator初心者の場合だと、「オープンパス?孤立点?…って何?」という状態になり、解決策も思いつかないまま投稿を諦めがちです。
この「オープンパス」というのは、illustratorのペンツールなどで描く時のパスが、「閉じられていない(クローズしていない)」時の状態を言います。直線ツールなどを使うと、こういったオープンパスを体験することになります。
この事象の解決方法ですがは、PIXTA公式サイト内の方がより詳しく説明されているので、そちらを見て頂ければ分かりやすいと思います。
[PIXTA]クリエイターが知っておきたいストックイラスト素材制作の基本
ただ、「そもそも、どこがオープンになっているのか分からない」事が大多数だと思いますので、その解決方法として
- illustratorの「ドキュメント情報」を参照する、もしくは
- PIXTAで配布されているスクリプトを使う
上記の2つの方法があります。
解決方法①ドキュメント情報
一つ目の方法としては、illustrator内の機能にある「ドキュメント情報」を活用することです。
「ドキュメント情報」というのは、「制作中のキャンパスの中に、パスはいくつあるのか?クリッピングマスクはあり?オブジェクトはいくつ?」といったあらゆる情報が一目で分かる機能になります。
こちらはタブ形式で表示してくれます。このタブの出し方は、上部メニューの「ウィンドウ」→真ん中ぐらいにある「ドキュメント情報」→ドキュメント情報タブが出たら、右の「三本線のリスト」をクリックし「オブジェクト」を選択することで、オブジェクト情報が表示されます。

オブジェクトを選択、または全選択すると、この情報欄にオープンパスの情報が記載されるわけですが、もしここに「2 オープンパス」と書かれていたら、「このオブジェクト内にはオープンパスが2個ありますよ」ということになります。
解決方法②スクリプト
上記画像のように、一目瞭然なオープンパスがあれば対処しやすいですが、中にはオブジェクトと重なってしまったりなど、見た目でオープンパスがどこにあるのかかなり分かりづらい事があります。
ということで、次の解決方法は「スクリプト」を使ってオープンパスを特定する方法です。
このスクリプトはPIXTAで無料配布しており、このスクリプトを実行することによりオープンパスを可視化することが可能です。
また、これに限らず「テキストのアウトライン化がまだなもの」などといったように「リジェクト対象となる項目がないかどうか」を全体的にチェックしてくれる超便利なスクリプトになっています。
入れておいて損はありませんおで、EPSデータも投稿する方はぜひ導入してみてください!
解決方法③「必殺技」
ただ、先ほどのスクリプトをもってしても、ドキュメント情報には「1 オープンパス」と表示されることもあります。スクリプトをもってしても場所が分からない場合、もはや手の打ちようがないのでしょうか?
そこで、とっておきのオープンパス解決方法をご紹介します!その方法とは、オブジェクトを「ナイフツール」でグルっと取り囲むだけです。
参考動画を準備しましたが、以下の動画のようにオブジェクトの外側を大きくグルっと取り囲むだけで、ドキュメント情報にのっているオープンパスの数が「0」になります!

この術は、ストックイラスト先駆者達が教えてくれた術になりますが、原理は不明です…。ただ、上記の方法を使えば楽にオープンパス問題を解決できるので、どうしても解決できなかったらこちらの技を使ってみましょう!
ただ…。
どうしても解決できない事象もある

これまで、PIXTAの投稿における様々な「投稿NG」の理由を解決してきましたが、どうしても解決できない問題もあります。
それが、「オブジェクトに何かしらの「描画モード」を加えていると、即NGになってしまう」ことです。いわゆる、オブジェクトに対して「乗算」や「加算」、「オーバーレイ」を1つでもかかっていると、NGになるみたいです。他にも、「オブジェクトの不透明度が100%以外」でも同様です。
描画モードと不透明度100%以外のオブジェクトがEPSデータ内にあった場合、PIXTAとしては受け付けないみたいです。

これらの事象についてですが、PIXTA側からはこれといったお知らせは無く、また他のクリエイターも特に言及していなかったので、「私のillustratorやパソコンの問題なのかな…」と思っています。
もし、他の方も同じような事象が発生している場合は、これに対する最善な解決方法が今のところありませんので、全てのオブジェクトの不透明度を100%にするか、どうしてもこのままの色合いで投稿したい場合は、対象のオブジェクトのみ「ラスタライズ」をして「ベクター化し直す」という方法もあります。
ただ、後者を行うと、色合いが少なからずおかしくなったり、パスなどがかなり複雑化するかと思われます。そのため、色合いを優先したい場合は、EPSデータでの投稿は諦め、JPGやPNGのいで投稿することをお勧めします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、「PIXTAでEPSデータを投稿する時のNG理由&解決方法」について紹介しました。
PIXTAの厳密な審査の結果、様々な理由によってEPSデータが登録できない場合があります。これらについては、事前にPIXTAのEPSデータ投稿マニュアルを確認しておくことが必要でうす。
PIXTAでは、リジェクト対象となる箇所が一発で分かる「スクリプト」も配布されているので、こちらもぜひ活用して頂ければと思います。オープンパスに関して解決できない場合は、超必殺技である「ナイフツールでオブジェクト外側をグルっと囲む」方法を試してみるのもいいかもしれませんね。
今回の記事が、PIXTAにEPSデータを投稿している方への手助けになれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!
