この記事では、以下のことについて解説しています。
●近年案件が多くなっている「動画広告マンガ」について
●1作品でいくらぐらい稼げるの?
●クラウドソーシング経由は要注意!
無印かげひと(@kage86kagen)です!
あけましておめでとうございます!
今年も引き続き、イラストやフリーランスについての情報をたくさん提供していきたいと思っていますので、今年もよろしくお願いします!
さっそくですが、皆さんは記事のタイトルにも書いてある「動画広告マンガ」というものをご存じでしょうか?
動画サイトを利用している方ならかなりの頻度で見かたことがあるのではないでしょうか?この動画広告マンガというのは2019年頃から急増している広告方法で、今の時代に沿った比較的新しい企業等の広告方法だと思われます。
中には「広告マンガを描いてみたい!」と考えている方もいるかもしれませんが、描き手である漫画家やイラストレーターの制作の実態についてなかなかお目にかかる機会が無いと思います。
ということで、本日は「動画広告マンガ」の製作の実態や報酬などの話をしていこうと思います。
今回は、どちらかというと「フリーランス」や「クラウドソーシングサイト」で活動しているクリエイター寄りのお話になりますので、気になる方はぜひご覧ください!。
もくじ
「動画広告マンガ」とは?
そもそも、この「動画広告マンガ」とは一体なんでしょうか?分からない方向けに簡単に説明していきたいと思います。
「動画広告マンガ」というのはそのまんまの意味で捉えてOKです。いわゆる「マンガを動画に加工し、それを企業や個人の広告や宣伝用」に制作した作品です。マーケティング(商売)として利用している方が大半です。
近年では、YouTubeなどの動画サイトで見かけることが非常に多くなっています。例えば、好きな動画を見ている最中に入ってくる広告がそれだったり、広告ではなく漫画そのものを1本の動画としてアップされていたり…などです。
実は、私も過去に動画漫画を3作品ほど制作したことがあります。

上記のイラストは、クラウドソーシングの公開提案の際、依頼者から試作品製作を依頼されたので、その際に作成した1枚です。残念ながら審査落ちしてしまったので、せっかくだからセリフ、人物、色合いを変更して本記事のサンプルとして活用してみました。
厳密に言うと、クラウドソーシング内に「審査」というものがあるわけではないのですが…。少し話はずれますが、後述ではこの「動画漫画制作に関する依頼者からの審査」についても後ほど説明していこうと思います。
動画を利用して広告する会社が急増
漫画というのは、昔から日本にとって親しみのあるコンテンツであり、今では「漫画が嫌い!」と断言する人をほとんど見ることはありません。活字よりもイラスト付きの方が見てもらう率が大幅に上がるため、漫画という手段でコンテンツを宣伝する企業がたくさんあります。
例えば、数年前に流行った「高校生が〇〇(哲学者等の名前)の本を読んでみた」…みたいな書籍なんかがまさにそうですね。表紙がタイトルと簡単な図形のみだと、若者の興味を惹くことが難しい時代となりました。
上記のように、表紙を漫画テイストのイラストにするだけで、特に若い人に興味を持たれて、購入されやすくなったりします。
動画広告もそれと同じような戦略で、ただ活字を流すよりも情報量が何倍もある「漫画動画」を流すことにより、より多くの視聴者が動画を閲覧してくれ、結果的に商品などの売り上げに繋がることになります。
そう聞けば、動画広告マンガは需要のあるコンテンツではないでしょうか?
1作品の報酬はいくら?

では次に、皆さんが気になっているであろうお金の話に入ります。
「動画広告漫画」を1本描くと、ぶっちゃけどれぐらい収入になるのでしょうか?1枚あたりの単価はいくらぐらいでしょう…?
ということでこの項目では、動画広告マンガの相場をざっくりとまとめてみました。どの依頼先に依頼するかによって値段が変動しますので、発注先ごとに表記しています。
(今回はシナリオ構」や動画編集を抜きにした、「漫画制作」のみの報酬に焦点を当てています。)
●1ページあたり
- 制作会社(いわゆるプロ):約40,000円~100,000円
- 有名な漫画家など:約20,000円~100,000円
- 個人依頼・フリーランス(DMなどで直に依頼する):約15,000円~50,000円
- クラウドソーシング:約1,000円~4,000円
金額ごとに並べると、こんな感じの並びになると思われます。もちろん、その中でもピンからキリまで金額が変動しますので、あしからず…。
会社 > 漫画家 > 個人依頼 > クラウドソーシング
会社に頼むと必然的に高くなるのは当然の事です。なんてったってプロですからね。有名漫画家に依頼する時も同様です。有名漫画家の場合は、その漫画家の「影響力」によって値段が変動することがあります。
個人依頼(特にSNS上でインフルエンサーになりそうなクリエイター)に動画広告マンガを依頼されている方もいらっしゃいます。
これらと比べてると、1枚あたりの単価が低いのが「クラウドソーシング」を介しての依頼になります。
クラウドソーシングでの受注は要注意!

いえいえ、クラウドソーシングで仕事を受けた場合、実際にもらえるのが「1ページ1,000円」…というわけではありません。
残念ながら、その逆になります。
「クラウドソーシング」というサービスは、発注したい人と受注したい人をインターネット上でマッチングしてくれる便利なお仕事形態ではありますが、契約したその都度、その仲介人であるクラウドソーシング会社に手数料を支払わないといけません。
クラウドソーシング会社にもよりますが、例ば約10万円以下のお仕事が成立した場合、この10万円におよそ15~25%の手数料がかかることになります。
例を出すと、
・1ページ1,000円の動画広告漫画の仕事を受けました。
・30ページの依頼ということで、依頼者側は「30,000円」を提示しました。
(「シナリオ構想」や「動画制作」を抜きにした場合)
↓
納品後、この「30,000円」からクラウドソーシング会社への手数料(20%とします)が取られるので、実際の手取りは
30,000円 - 20%(6,000円) =24,000円 となります。
皆さんはこの手取り収入を見て、多いor少ない、どちらの印象を持たれましたでしょうか?
クラウドソーシングでの受注はあまりお勧めしない

動画広告マンガ制作に興味を持ち、クラウドソーシングサイトで仕事を始めようと考えている方にアドバイスですが、ぶっちゃけ動画広告漫画の仕事はクラウドソーシングで受注しない方がいいかもしれません。
実際に体験してみればわかりますが、作成時間に対する報酬が安すぎる事がほとんどです…。
私もこれまで3回ほど動画広告漫画を作成してきましたが、30ページ(もちろん全部カラー)の漫画を作成しようとすると、描き慣れている方でも完成までには最低でも5日,6日はかかります。
1ヶ月の収入を全て動画広告漫画で成り立たせいた場合は、単純計算でいくと1ヶ月に5作品は制作できそうに思えますが、その対価がかなり低いです。
先ほど出した値段で例えると、クラウドソーシングを介してお仕事を行った場合、
30ページ1作品を24,000円 × 5本 = 1ヶ月に 122,500円しか頂くことができません。
そのため、動画広告マンガをメインとして活動したい方は、クラウドソーシング内での活動はあまりおススメしません。それならば、TwitterやInstagramなどで営業を行って、直にやり取りをした方がまだ良いと思われます。
「いや、うちは今は実績重視だから、金額は別に安くても良い!」という方であれば、赤字になることを覚悟して、ある程度貯金した上で臨むといいかもしれませんが…。
著作権はほぼ「譲渡」だと思ってもいい

また、クラウドソーシングサイトを経由での依頼は他にもデメリットがあります。報酬額が低い事はさることながら、実は依頼者のほとんどは著作権譲渡を希望してきます。
理由としては、作品物を納品後、依頼者自身で加工しやすくするためだったり、動画以外の媒体にも使用する「二次利用」を気軽に行いたいためだそうです。
このやり取りをイラスト業界視点から見た場合だと、著作権を譲渡する場合は「著作権譲渡」料として納品物の約5倍以上の見積もりをプラスすることが一般的です。
いずれにしろ、著作権譲渡はクリエイター側が圧倒的に損することになりますので、イラスト業界内では、依頼者に著作権譲渡を要望された場合、通常よりも何倍かの報酬を掲示する方がほとんどです。(なので、むやみやたらに「著作権譲渡」をすることはおススメしません。)
話を戻しますと、この著作権譲渡についてですが、クラウドソーシングで動画広告マンガの依頼をうけた場合、ほとんどの依頼者は著作権譲渡を要求すると思ってください。
また気を付けて頂きたいのが、著作権譲渡を希望された場合、見積もりの中に「著作権譲渡料」が入っているていで調整が進みますので、先ほどの30ページ「24,000円」で例えると、著作権譲渡料込みで「24,000円」で依頼を引き受ける事になります。
もちろんメリットも存在する

なんだか、クラウドソーシング内で動画広告マンガを引き受けるのはデメリットしかないような書き方でしたが、もちろん少なからずメリットも存在します。
仕事を貰いやすい
クラウドソーシングでは、「動画広告マンガ」に関する「公開提案」が、毎日何件~何十件提出されます。イラスト1枚の公開提案と比べると応募者が少ないため、応募すれば意外と簡単に採用される事もあります。
また、動画広告マンガは継続依頼をされる可能性も高いため、依頼者に満足してもらえれば、引き続きお仕事を貰うことも夢ではないかもしれませんね。
しかし、実際の取引先の方から聞いた情報では、最近は途中で仕事を投げ出してしまうクリエイターが多いようです。そのため、依頼者側もよくよく検討する必要があり、契約する前「審査」を要求する方も多くなったそうです。
「審査」そのものはクラウドソーシング内のサービスではありません。これは完全に依頼者側によるものになります。
この場合の「審査」というのは、契約する前にクリエイターに1ページのみ制作してもらい、その内容を依頼者が判断した上で、本価格的に契約するか否かに持ち込む作業のことを指します。
一見、お互いにとって良さそうな内容ではありますが、この「審査」で制作した作品に対する報酬は支払われないことが多いです。例え支払われたとしても、1ページ500円などの価格の低さで交渉してくる方もいます。
経験上、契約前に「審査」という名目で作品を作らせようとする依頼は「地雷案件」だと思っていますので、それを踏まえた上で依頼を請ける方は、それ相応の覚悟を決めてください。
早く描く練習になる
依頼者側にもよりますが、大抵の方は「1~2週間以内に納品」を指定してくる方が多いです。このような1週間以内納品というタイトなスケジュールの場合、漫画制作に慣れていない人だと少々厳しいかもしれませn。
しかし、これをポジティブに考えると、早く描く練習に繋がること間違いなしです。
30ページの広告マンガを1週間で納品できる…と言う方は、かなりの速筆だという事を誇っても良いです。
ただ、独身ではない限りかなり無茶のある作業内容となってしまいますので、体に気を付けて制作を行って頂ければ幸いです…。
条件が悪くても動画広告漫画を仕事にしたい場合

さて、ここまでクラウドソーシング内での動画広告マンガの制作についてをいろいろとお話をしてきました。
今回の話に関しては、どちらかというとクリエイター側が損をしてしまう事になる内容でした。
イラストを本業として活動している方にとってはキツイ話でしたが、副業の場合はちゃんとした「副収入」として稼ぐことが出来ると思います。
もし、それでも「経験の一環として」「収入源にしたい」と考えているイラストレーターに関しては、以下の点を考慮して広告マンガを制作していくといいかもしれません。
単価に見合った描き込み量にする
これはどの制作作業にも言える事ですが、掲示された予算に見合った描き込み量に調整して制作することを断然お勧めします。
例えば、「1ページ1,000円」という予算掲示に対し、「ソーシャルゲームのようなきらっきらで描き込み量の多い絵柄で描いてくれ」と言われたら、どう思うでしょうか?それを30枚作成となると、完全に割に合わない報酬だと思います。
そのため、もし「1ページ1,000円で描いてくれ」という依頼を引き受ける場合、「主線+色はべた塗り、背景は無し」といった描き込み量に抑えて制作をするか、依頼者と交渉をして予算を上げてもらった方が良いです。
上記の漫画は、影+ぼかし+光の描写をしていますが、上記の描き方で1,000円は、さすがに安いと思われます。
動画広告マンガはこれからも需要のあるコンテンツではありますが、フリーランスへの依頼やクラウドソーシング内での依頼は、クリエイター側が不利になるような依頼が多いです。動画広告マンガを生業として活動していきたい方は、依頼者や依頼内容には十分気を付けて制作を行ってみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、「クラウドソーシングの「動画広告マンガ」制作だけで生活費は稼げるのか?」といった話をご紹介しました。
近年は、「動画広告マンガ」を広告として採用する会社や個人が増えてきました。
これからも需要がありそうなコンテンツではありますが、フリーランスやクラウドソーシング内での依頼に関しては、1作品あたりの報酬がかなり低い依頼が散見されます。
そのため、個人的にはクラウドソーシング内での広告マンガの依頼は期待しない方が良いと思いますが、もしクラウドソーシング内で活動していきたいと考えている方は、今まで紹介した内容を十分考慮した上で活動して頂ければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!