この記事では、以下のことについて解説しています。
●漫画を描くための必要な道具
●漫画の描き方(コマ割り、ストーリーなど)
●何から学んでいけばいいのか?
無印かげひと(@kage86kagen)です!
数十年前と比べると、TwitterなどのSNSを介してイラストや漫画をアップする人がとても多くなったように思えます。そうして見ると、イラストや漫画業界は年々盛り上がっていってるなー、と言えるのではないでしょうか?
イラストや漫画などで自分の気持ちを表現することって、とても素敵ですよね!
そんな中、Twitterのフォロワーさんから
- 「漫画を描きたいけど、どうやって学べばいいか分からない」
- 「”分からない”が分からない」
…というお悩みを頂きました。
ということで、今回は「超初心者向け!漫画の始め方と学習方法」についてお話しようと思います。
漫画を始めてみたい方のためにハードルを低くして解説しますので、漫画を描いてみたいな…と思う方はぜひご参考ください!
(※なお、今回は「デジタルツール」で描く方法を中心に紹介していきます。)
もくじ
[大前提]漫画は一日で完璧に描けない

漫画の描き方を説明する前に、大前提として1つ伝えておきたいことがあります。
漫画を描くための技術は例え参考書を1日で読破したとしても、1日で完璧な漫画を描くことはできません。1日根詰めて勉強したからと言って、当日や翌日に「鬼滅の刃」のようなドラマチックな漫画を描くことは到底無理なこと…。
これから漫画を描かれる方には、大前提としてすぐに上手く描けるとは思わないようにしましょう。どんなスキルにも言える事ですが、漫画を描けるようになるのは「一日にしてならず」です。
「さあ、○○のような漫画を描くぞ!」と、初心者こそ理想を高くしがちですが、以下のグラフにも示されている通り自分が思い浮かべる「成長」の理想と現実にはギャップが大きいです。
赤線のように成長できれば「理想」ですが、現実は青線のような「曲線」のように成長していきます。
「学習曲線」
![]()
勉強した努力の量に比例して直線的に成長すると思う方もいらっしゃると思います。
しかし、実際の成長は指数関数のグラフのようにある時点を境目に急激に成長すると言われています。引用元:「STUDY GYM」(https://studygym-s.com/2020/05/14/2495/)
そのため、まずは「1日たりとも早く描けるようになりたい!」という焦りを抑えて頂きつつ、「毎日コツコツの勉強で漫画が描けるようになる」と思って頂いた上でこの記事を読み進めて頂ければと思います。
まずは必要な道具から
まずは肩慣らしの意味も込めて、漫画を描くための道具について紹介しましょう。
使用する道具は、
- 紙とペンを使う昔ながらのアナログ
- パソコンなどで描くデジタル
この2種類があります。

デジタルの場合
デジタルで漫画を描く場合、パソコンとペンタブレットさえあればすぐに始められます。マンガ作成に特化したペイントソフトというと「CLIP STUDIO PAINT」が有名ですが、初心者の方は、体験版又は無料ソフトを使用してみることをお勧めします。
アナログの場合
アナログの場合、一台で済むデジタルと違っていくつかの道具が必要になってきます。
- 漫画原稿用紙(初めのうちはコピー用紙でもOK)
- 下書き用の鉛筆やシャーペン
- ペン書き用のペン(Gペン、丸ペンなどが主流)
- 修正液
極端に言うと紙とペンさえあれば描けますが、プロの漫画家を目指している場合は最低は限上記の道具が必要です。
デジタルとアナログ…。どちらも一長一短ですが、長期的に描いていきたい人は、お金や時間、ペイントソフトが主流である「このご時世」も考えて、圧倒的にコスパがいいデジタルを選ぶのもいいかもしれませんね。
一般的な漫画の描き方
次に、一般的な「漫画の描き方」についてご紹介します。漫画を描いたことが無い人にとっては、漫画を描く時の流れについてもよく分からなかったりします。
ざっくり説明すると、下記のような流れを取る方が大半です。

- ストーリーを考える
- ネームを考える
- 下書きを作成する
- ペン入れをする
- 完成!
1.ストーリーを考える
まずは漫画として描きたいストーリーを考えましょう。イラスト1枚絵は最低限画力が無いと土俵に立てませんが、漫画は画力よりも「ストーリー」が大事になります。
ストーリーはどうやって生み出せばいいのか?というと、自分の身におきた体験談、人から聞いた話、読んだ漫画に触発されて似たようなものを描きたい、などなど、どんなものでも構いません。「あ、今体験していること、なんか漫画に描きたいな…」とふと思ったら、そのアイデアを忘れないうちにメモなどに書き留めておきましょう。それが「漫画の種」になります。
「昨日の夕飯、魚だったけど、骨が多くて食べずらかったな…」
などの、ぽっと出のよくある話でも構いません。漫画初心者は上記の短いストーリーでもいいので、まずはちょっとした話を漫画として形にしてみる事が大きな一歩です。
2.ネームを考える
初心者にとってはここからハードルを高く感じてしまいがちですが、ネームは「下書きの下書き」と思えば大丈夫です。
まずは、思い浮かんだストーリーをメモ帳に箇条書きしたり、その箇条書きしたものを絵にしてみましょう。デジタルであれば、ペイントソフトのキャンバスにそのまま描けばよいですが、アナログで描く場合はいきなり原稿用紙に描くのではなく、「コピー用紙」などに描たほうが、原稿用紙を汚す必要がなくなります。

ネームの時点で大まかにきめておきたい要素は、以下の通りです。
- コマ割り(何個に分けるのか)
- セリフ(思いつかなかったら、次の「下書き」工程でもOK)
- キャラクター(今描くことができるキャラクターでOK)
- キャラクターの簡単な動き
最低でもこれらが描いてあれば、ネームとしての役割は十分です。慣れてきたら、「表情」、「擬音」なども描き加えるのいいかもしれませんね。
3.下書きを作成する
ネームが完成したらいよいよ「下書き」の工程です!(アナログの場合は、「漫画原稿用紙」に下書きを描きこみます。)
今回は「デジタル」方式を中心に紹介します。デジタルの下書き方法は超簡単!
コピー用紙などの紙にネームを描いた人は、
- ネームをスマホ等で写真に撮り、それをペイントソフトに取り込んで、そのネームレイヤーの透明度を下げれば、下書きの準備の完成!
- デジタルソフトでそのままネームを描いた人は、その描いたレイヤーの「透明度」を下げるだけ!

下書きの工程では、ストーリーやキャラクターの表情をさらに詳しく描いていきましょう。ネームの時点でセリフを考えられなかったら、この時点で決めておきたいですね。
4.ペン入れをする
次に、制作段階の要となる「ペン書き」に入ります。
先ほど下書きしたレイヤーをネームの時同様に「透明度」を薄くしてから、ペン入れ用のレイヤーを上に配置して、その上を好きなペン好きな色で丁寧になぞっていきます。

最初のうちは、クリスタに内蔵されている初期設定ペンで描いてみましょう。
・Gペン:アナログの「Gペン」と同じ。細い線、太い線といった筆圧の強弱をつけやすいペン。(今回の漫画は「Gペン」で作成。)
・丸ペン:線は一律細め。強弱がつけにくい。細かいイラスト、や建物などを描く時にちょうどいい。
・カブラペン:Gペンよりも固い印象。Gペンよりもさらに躍動感を表現できる。
全体的にペン入れが終わったら、ざっと見返してはみ出した線などを「修正」していきます。「消しゴムツール」を利用してはみ出した線を消したり、足りない部分を描き足したりなどしていきましょう。
5.完成!

完成です!
「最初から○○のような豪華な漫画を描くぞ!」といきこんでも、最初から神レベルの漫画を描くことはできません。
漫画初心者の方は、最初からあまり高みを目指さないようにし、上記のような簡単な漫画を描いていくことをお勧めします。
コマ数も、最初は1ページに2コマ。慣れたら3コマ…。という風に、コマ数を増やしていくとよいかもしれませんね。
一番大事なのは、一つの作品を最後まで描ききること。
完成することで、途中で諦めるよりたくさんの経験値を得ることが出来るよ。
では「何から」「どのように」学んでいけばいいのか?

ここまでは、必要な道具や、漫画の進め方について説明しました。
ここから本題ですが、漫画は「何から」「どのように」学んでいけばいいのかをご紹介します。
私なりに考えましたが、優先的に学ぶべき順番を以下のように並べてみました!
- キャラクターの描き方
- コマ割りのやり方
- セリフ枠の描き方
- 文字の大きさ、入れ方、文章について
- 擬音の描き方
- 背景、効果線の描き方
- 漫符の描き方
- 上記を使って1作品完成させ、再度①から順に勉強する
…上記の流れをひたすら巡回します。ひたすらです。「分からないが分からない」方こそ、試して欲しい方法となります。これを一巡していけば、各項目偏りなく知識が身に付いていくことでしょう。
手順通り勉強していくうちに、「私はセリフを思い浮かべるのが苦手だな」と感じたら、そこを重点的に学べばOKです。
上記の流れを把握したら、次に自分の好きな漫画を一冊手元に用意し、その漫画を見ながら、上記の項目に着目して勉強していきます。その漫画から「キャラクターはどういう風に描いているのか」、「コマ割りはどのように行っているのか」などといった要素をひたすら参考にしていきます。
①キャラクターの描き方
キャラクターは、「漫画」を描く前提としてある程度描けないといけない項目になってきます。だからといって、今はやりのスマホゲームのようなキラッキラなキャラクターの画力を目指す必要はありません!
「今描ける」画力で大丈夫です。例え人間が描けなくても、「ハム太郎」のようなゆるキャラ動物だったり、最悪「棒人間」でも大丈夫です。
参考の漫画本に出てくるキャラクターの動きを、そのままそっくりマネして「棒人間」として描いたりすることもおススメです。
②コマ割りのやり方
「漫画」といったらやはりこれですよね。イラストの一枚絵とは違い、複数の「枠」で分けてからこそ「漫画」といえます。そのため、キャラクターの描き方をある程度勉強したら、次は「コマ割り」について学びましょう。
まずは、1ページを二分割して、2コマのみ枠線を引き、その枠内に絵を描いてみましょう。
2コマの漫画を1作品完成させたら、そこから徐々にコマ数を増やしていきましょう。
ちなみに、3コマ以上割る時のストーリーの進め方ですが、読者の目線が下記のような流れになるようにコマを配置し、描かれていることがほとんどです。

3コマ以上描くときは、「読者の目線」を意識しながらコマを割ってみましょう。これも、既存の漫画を参考にしながら描くとOKです。
③セリフ枠の描き方
コマ枠の引き方をある程度学んだら、次はセリフ枠を優先的に勉強してみましょう。
セリフ枠は、最初は〇さえ描ければ大丈夫です。ただし、クリスタ等には「吹き出し」機能が備わっており、超簡単にセリフ枠を描くことができます。
まずは、コマ枠にセリフ枠が被さってもいいので、気にせず吹き出しを作ってみましょう。
セリフ枠の種類いろいろありますが、これは「役目」事に分けられており、よくある吹き出しの種類は以下の通りが見受けられます。

楕円:主にキャラクターが話す時に使います。
四角:ナレーション、回想、電話先の相手の声などのの表現にぴったりです。主人公の心の声も、これで表現する場合があります。
フラッシュ形式:怒る、喜ぶ、絶望する、など、心が大きく揺れ動いた時にうってつけです。
④文字の大きさ、入れ方
セリフ枠を勉強したら、そのセリフ枠に入れる文字を入れてみましょう。最初は、枠内に文字が入りきることを目標として、文字を入れていきます。
「文字の大きさ」、「フォント」については、慣れてきたらで構いませんので、文字に関するデザインも意識するようにしましょう。
⑤擬音の描き方
文字ほど重要ではありませんが、擬音は漫画の情景をさらに引き立たせることができる表現方法です。「バンッ!」や「カシャン」、「コトコト」など…。これらを「擬音」といいます。
この擬音は、文字入力で綺麗に描くよりも手描きで描いた方が躍動感がありますので、最初は自分の手癖で描いてみましょう。
⑥背景、効果線の描き方
次に背景についてですが、最初は簡単な背景にチャレンジしてみましょう。「グレ一1色」とか、「グラデーション」とか「トーン」をただ貼り付けるとか…。
クリスタには、これまた初めから「背景素材」が備わっていますので、これを利用することをおススメします。
効果線についても、「擬音」と同様情景を引き立たせるために覚えておいたほうが良い技法です。例えば有名どころだと「集中線」でしょうか。これも、あらかじめクリスタの機能に備わっていますので、ぜひ使ってみてください!

➆漫符号の描き方
キャラクターの反応をさらに分かりやすくするための記号を、「漫符」と呼んでいます。これも、漫画の演出に味を出したり、雰囲気を醸し出す割と重要な要素です。

初心者にとっては、何が漫符なのか、どう表現すればいいのか分からないと思います。これについては、参考にする漫画等を参照して頂いた方が早いかもしれません。
または、ネット上で「漫符」と検索すると、よく使用されている記号がいっぱい出てきます。どういった感情の時、どのようなシーンの時に使われるのか…といった事を勉強するといいかもしませんね。
⑧上記を使って1作品完成させ再度①から順に勉強する。
今まで、①~➆の優先して勉強すべき点をあげましたが、これらをすべて使用した作品を1つ作り上げましょう。
完成したら、自分の作品を客観的に見返したり、参考にした漫画本と見比べたりなどして、
- 今回上手くいった箇所
- 上手く表現できなかった箇所
- 次に学ぶべき点
などを、メモ帳などに書き出して評価や反省します。
こうして①~⑧の手順を繰り返すと、漫画の描き方のコツが徐々に掴めてくるはずです。
とにかく描くしかない

ここまで、超初心者向けの漫画の勉強の仕方を教えてきましたが、これを見ておきながら「他に効率的のいい方法ないかな~」といって検索画面に行こうとする方、
諦めてこれを繰り返してください。
初心者ほど、「もっと早く、効率的に上手くなりたい」と思い、参考書を見てもなお別の参考書を探しがちですが、初心者のうちの「参考書」巡りは時間の無駄です。
参考サイト、参考書巡りは、1回に2,3個程度に抑えて、その参考をしゃぶりつくしたら次の参考書に向かうことをお勧めします。
イラストや漫画は、とにかく描いて描いて学ぶしかありません。この記事が少しでも参考になったら、まずはこの方法で勉強してみてください!
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、漫画を始めてみたい「超初心者向け」の勉強方法を説明いたしました。
まとめになりますが、
漫画をどう勉強すればいいのか分からない方は、まずは好きな漫画を一冊手元に持ってきて、以下の項目に着目して勉強してみてください。
- キャラクターの描き方
- コマ割りのやり方
- セリフ枠の描き方
- 文字の大きさ、入れ方、文章の考え方
- 擬音の描き方
- 背景、効果線の描き方
- 漫符の描き方
- 上記を使って1作品完成させ、再度①から順に勉強する。
①~➆まで一通り学んだら、自分の作品を見返し反省点を挙げ、次の勉強に活かしていきます。
再三お伝えしていますが、漫画は「すぐに上手くなりません!」上手くなるには長い期間がかかることを前提として、無理のない範囲で学び続けることが大事です。
「理想と現実」のギャップで漫画を描くことを諦める方が大勢いますが、そのギャップも受け入れつつひたすら継続していけば、そのうち一気に画力向上が見込めます。
終始熱く語ってしまいましたが、「本気で上手くなりたい、描き方を学びたい方」は、今まで紹介した方法をぜひ実践してみてください!
さらに詳しい「漫画」の描き方については、このブログで不定期に紹介していこうと思いますので、よろしかったら参考にしてみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!
ペイントソフト CLIP STUDIO PAINT 無料体験版のダウンロード