Blender

「Blenderを始めてみたいな」と考えた絵描きへのアドバイス&勉強の仕方

この記事の解説内容

●無料で3D作品を作れる「Blender」とは?
●「Blenderを始めてみたいな」と考えた絵描きへのアドバイス&勉強の仕方
●超初心者におススメのYouTubeチャンネル

かげひと
かげひと
こんにちは!イラストレーター兼動画クリエイターの
無印かげひと(@kage86kagen)です!

イラストレーター、絵師、趣味でイラストを描いているみなさんは、「Blender」というソフトをご存じでしょうか?

最近のTwitterを見ていると、Blenderで制作した作品がたくさん投稿されているように思います。Twitterを利用している方は、もしかすると一度は見かけたことがあるかもしれませんね。

コーヒーさん
コーヒーさん
確かに、Twitter上で「Blender」という言葉を頻繁に見かけるようになった気がする。
ワインさん
ワインさん
Blenderですか…。うーんあまり詳しくは知らないですね…。

Blenderを簡単に説明すると「3DCGソフト」になりますが、最近は絵描きの方もBlenderに興味を持ち始めている人が増えているようです。

かく言う管理人も2021年の8月にBlenderをインストールし、現在も勉強しながら実際にお仕事に取り入れています。

そこで今回は、「「Blenderを始めてみたいな」と考えた絵描きへのアドバイス&勉強の仕方」という事で、Blenderに興味を持ったイラストレーターや趣味の絵描き向けに、「Blenderとは?」や「Blenderはこんなことができる!」「絵描き向けの勉強方法は?」といった事について、絵描き目線で解説していきたいと思います。

実は、Blenderは勉強を始めて1ヶ月ほどで挫折する人がかなり多く、継続して勉強&使い続ける人は結構少ないんだとか。そのため、「絵描きがBlenderを使用する前に考えて欲しい事」といったアドバイスも掲載しています。

成り行きでBlenderに飛び込み、得るもの無く止めてしまうのは、時間的に非常にもったいないです。今回はそういった事を防ぐための解説もしていきます。

  • 最近気になっているBlenderについて知りたい!
  • Blenderスキルを身に着けると、どういったメリットがあるの?
  • Blenderの勉強の仕方は?

などなど、Blenderについてちょっとでも気になっている方は、ぜひご参考ください!

Blenderとは?

まずは、Blenderについて簡単に説明します。Blenderは一言で言うと、「誰でも無料で使用できる3DCGソフト」の事を言います。(今のところPCのみで使用できます)

通常、3DCGソフトは高価な製品になるのですが、有料のソフトに引けをとらない機能が満載でありながらも、無料で使用できるのがBlenderの一番の強みです。

近年ではアニメ業界なども本格的に利用している会社が増えているそうで、シンエヴァンゲリオン劇場版を制作した株式会社カラーも利用しているそうです。もちろん、個人として使用する方のシェア率も増加しているそうですよ。

ワインさん
ワインさん
株式会社カラーは、Blenderを開発している財団に開発資金の提供もしているそうです!

ただ、プロの3Dモデラ―からは、「現場では全然使えない!」「現場に入るなら○○ソフトだ!」「Blenderはあくまで個人で使用するものだ!」という意見もあるそうですが、実際には大手アニメ企業も使用していますし、既存の3DソフトからBlenderに切り替える会社もあるそうです。

こちらの意見は参考程度に聞いておくのもいいかもしれませんが、確実に言えるのは、個人で活動しているフリーランスや趣味で制作を行う方にとっては一番導入しやすい3Dソフトだと思います。

かげひと
かげひと
管理人はプロ3Dモデラ―でもありませんので、あまり大層な事は言えませんが…。

「Blenderを使用する目的」を決めておこう

Blenderは無料で使える本格的な3DCG編集ソフトです。「周りの絵師達で始める人が増えたから、自分もやってみようかな…?」と、周りの評判と無料の手軽さにつられてなんとなく始めるのは、絶対おススメしません!

なぜなら、Blenderで出来る事はあまりにも多く、導入する前に「自分がBlenderを使用して何をしたいのか?」という目標・目的をかっちり決めておかないと、ただただ時間を潰してしまい、短期間で辞めてしまう確率が非常に高いからです。

かげひと
かげひと
実際、SNS等でのコメントを見る限り、Blenderを初めて1ヶ月で辞めてしまう方がかなり多いそうです。これは絵描き以外の方も例外ではありません。

そのため、「Blenderを始めてみたいな…」と考えている方は、「自分がBlenderを使う目標」をある程度定めてから始めるようにしましょう。

コーヒーさん
コーヒーさん
具体的にはどういった目標を立てておけばいいの?

例えば管理人を例に出すと、Blenderを使用し始めた最初の理由は、「MV制作時の素材やエフェクトを自作したい」「トゥーンシェーダー風の3D作品を作りたい」というのが原動力となってBlenderを始めました。

ガッツリとした超リアル3D作品を作る…というよりは、2Dイラスト作品と融合させた3D作品を作りたいために触り始めました。

トゥーンシェーダー風・・・3DCGをセル画のように見せる表現のこと。これを使っている作品を例に出すと、ゲーム「ゼルダの伝説 風のタクトゲーム「原神」などがあります。

後ほど詳しく説明しますが、Blenderには本当にたくさんの機能が備わっており、その分表現できる量も凄まじいです。逆に機能があり過ぎるがゆえに、「Blenderを骨の髄までしゃぶって使いこなすぞ!」と意気込んだとしても、習得には数年かかる…と言われています。

ましてや、イラストを描きつつBlenderも習得するとなると、3D職人一本の人と比べてBlenderの勉強時間も半分になるため、Blenderをきっちり使いこなす前提で挑んでしまうと、本命のイラスト制作がおろそかになります

コーヒーさん
コーヒーさん
Blenderに時間を割いてイラストが上達できなくなるのは、ちょっとなぁ。
ワインさん
ワインさん
人によっては、イラストよりも3D制作が性分に合っていると感じ、イラストレーター→3Dモデラ―に転身する方もいるそうです。

Blenderを使い始めるきっかけは人それぞれですが、参考としてBlenderを使用する目標の一例を紹介しますので、使用してみたい方は目標を固めてからインストールするようにしましょう。

  • SFファンタジーのような3D作品を作りたい(宇宙船や惑星を作ってみたい)
  • カラフルで美味しそうなスイーツの3D作品を作り、それを動かしてみたい
  • 水の動きをBlenderで制作し、それを動画編集に組み込みたい
  • 背景イラストを制作するためのパース確認の意味合いとして、建物を作ってそれをペイントソフトに取り込みたい
  • 3D人物をモデリングし、躍らせたい
  • ストックサイトに投稿するための3D画像を作りたい etc…

Blenderでできること

Blenderで「水を吐くフグ」を制作している様子Blenderで「水を吐くフグ」を制作している様子

Blenderで出来る事は本当にたくさんあります。管理人の目標のように「トゥーンシェーダー風の3D作品」を作ることもできますし、リアルな車や飛行機を作ったり、ディズニーの3D作品のような超絶リアル人物をモデリングすることも可能です。

(3D世界では、3D作品を作る人の事を「3Dモデラ―」と呼び、3D作品を作っていく工程の事を「モデリング」と呼ぶそうです)

しかし、今のところ明確な目標はないものの、とにかくBlenderを試してみたい!という方もいるかもしれません。

そこで、逆説的な考えになりますが、Blenderで出来る事を確認してからやり始めてみたい方のために、Blenderでできる事を箇条書きで紹介します。

  • 3D作品を作ることができる(超簡素なものから超リアル3DCG作品まで作れる)
  • 作った3D作品に動きをつけて、それを動画データとして出力できる(もちろん、画像データでも出力可能)
  • 光源を設定でき、3Dに陰影を付ける事が可能
  • 背景を設定できる(”HDMI”という360℃背景データを利用した作品も制作可!)
  • 2D風の3DCG作品を作ることができる(トゥーンシェーダー風)
  • 背景イラストを制作できる
  • 「シュミレーション」というのができる(重力も表現できるし、Blender内には水、煙、火の粉、爆発などのエフェクトが備わっているので、こういった表現も可能)
  • 3D作品にエフェクトを設定することができる(ノイズ風、透明水彩風、油絵風など)
  • なんと、3D空間に絵を描くこともできる!(「グリースペンシル」と言います)

 

コーヒーさん
コーヒーさん
ストップストップ!そんなにできるの!?3Dに関する事ならなんでもできるんだね!
↑こちらの背景の「ビル群」はBlenderで制作し、その後クリスタでちょっと加筆しました。

目標を必ず設定してからインストールして欲しい!」といった理由、もうおわかりですよね?

先ほどの一覧は、イラストレーター目線から見て「これ、絵描きにとって使えそうな機能だな」という一例をあげましたが、これ以外にも出来る事はまだまだあります。より詳しい機能を見たい方は、ぜひご自分で検索してみてください!

絵描き人のための勉強の仕方

メイキング動画を見ながら「都会」を量産している様子。原型となっているビルは5つしか作ってない。それを利用して大量にビルを繁殖させている。

さて、ここまでは「Blenderを使用する目的」と「Blenderで出来る事の一例」を紹介してきました。ある程度目標を定めた事が出来たなら、次はBlenderの勉強の手段を把握しておきましょう。

Blenderを一から勉強する方法としては、下記の方法があります。

  • メイキング動画を検索する
  • オンラインスクール、講座などに入会して勉強する

本格的に自分のスキルとして身に着けたい方は、オンラインサロンや講座などでかっちりとカリキュラムを組んでくれているコンテンツを利用することをお勧めします。

コーヒーさん
コーヒーさん
へー以外。イラストや動画編集の勉強方法を紹介した記事と同様に、「独学でもいける!」とは逆の意見なんだね。
かげひと
かげひと
そうなんですよ。先ほどもあった通り、Blenderは本当に何でもできるソフトです。そのため、何から学べばいいのか右往左往する初心者がほとんどだと思いますので、今回の場合はカリキュラムが組まれているコンテンツを頼ったほうが、独学で学ぶよりも短い時間で習得できます。

一方、独学で学ぼうとして「YouTube等に投稿されているメイキング動画」を利用しようとする人もいますが、この場合、インストールや操作方法を学んだ次の「○○を作る時は○○機能を使おう!」といった分岐点がかなり多いです。

物語で例えると、物語の導入となるプロローグはみんなが同じ話を読みますが、その次の第1章は20以上ものストーリーから好きな物を選ぶ事ができる「分岐がめっちゃあるストーリー」のようなイメージです。

内容を完璧に把握するため、分岐全てのストーリーを読むぞ!」と思っても、かなり時間がかかることは目に見えて分かりますよね。

そのため、初心者へおススメする勉強法は、まずは誰かが作ってくれた道筋(カリキュラム)に沿って勉強していくことをお勧めします

かげひと
かげひと
とは言いつつも、管理人は独学で勉強しました…。

独学で学ぶ人へのおススメの道

もちろん、独学で勉強する方法もありです。

現在YouTubeには、BlenderのBの字から優しく詳しく説明してくれているメイキング動画がたくさんあります。そのため、メイキング動画を紹介しているチャンネルをいくつかフォーカスしておき、投稿日の古い順番に動画を見ていく方法もあります。

ただし、メイキング動画を選ぶ際は、自分がBlenderを使う目的と一致している内容を選ぶ事が大切です。

ワインさん
ワインさん
粘土のような質感の3D作品を作りたいのに、機械系の3D作品を紹介したメイキング動画を学んでも身につきませんからね。

また、メイキング動画を選ぶ際には、「どの動画から学んだ方が効率的かな…」と悩みがちだと思われます。悩んで目移りばかりしてしまうと、いわゆる「選択疲れ」となって、学ぶどころか「明日で良いかな…」と気力がなくなってしまう恐れがあります。

そのため、例えば「Blender メイキング」で検索し、検索の一番上に表示された動画から必ずやる、といった取り決めをするのもいいかもしれません。まずは「目に付いたメイキング動画から片っ端からやってみる」ことを推奨します。

メイキング動画を1回見ただけでは、Blenderの全体の0.1%ほどぐらいしか学ぶことができません。これを地道に積み重ねていくことによって、初めて確立したスキルが身につきます。

かげひと
かげひと
参考として、管理人がBlenderを学んだ軌跡を載せておきます。(2021年8月から使用)
  1. まずはBlenderのインストール、操作の仕方から学ぶ
  2. 次に、簡単なモチーフのメイキング動画を見ながら、自分も実際に作ってみる
  3. ②を4~5回繰り返す
  4. 何か簡単なものでもいいので、オリジナル作品を1つ作ってみる(分からない箇所はその都度検索しながら勉強)
  5. ②よりも少し難しそうなメイキング動画を見ながら作る
  6. ⑤を4~5回繰り返す
  7. 実際にお仕事に組み込んでみる(依頼者に3Dを利用した演出を提案してみる&実際に作る)

後は、➆を主軸にして実践しながら学んでいる状況です。

 

管理人の作品を追ってくれている方はご存じかもしれませんが、2021年8月にBlenderを学び始めて以来、制作したMVの中にはBlenderで作った作品を活用しているものもあります。

 

こちらは、Blenderで「花瓶とスイセン」を制作している作業風景です。この作品は実際にMVに取り入れています。

おススメのメイキング動画

本記事は、あくまでも「「Blenderを始めてみたいな」と考えた絵描きへのアドバイス&勉強の仕方」について紹介してきましたので、詳しい使い方や表現方法については割愛しています。

ここまでは以下のようなお話をしましたが、なんとなく分かって頂けましたでしょうか?

  • Blenderを使ってみたいと思ったら、「自分はBlenderで何をしたいのかの目的・目標」を定める
  • Blenderの勉強の仕方は、講座やサロンに入会して学ぶか、メイキング動画を見ながら独学で学んでいくかの方法がある

 

最後になりますが、Blenderを独学で学ぶ方のために、メイキング動画が分かりやすいおススメのチャンネルを紹介します。

 

●【初心者向け】世界一やさしいBlender入門!使い方&導入〜画像作成までを解説【Blender2.9】
(チャンネル:3D Bibi)

こちらには、Blenderのダウンロード→インストール方法から、基本的な使い方3D作品の作り方の一連の流れをとても丁寧に紹介している動画になります。私もこの動画から学び始めました。

サムネイル画像にもある通り、Blenderでは「どうぶつの森」の家具のように、ほっこり可愛い作品も作ることが可能です。こちらの動画を見ながら実際に手を動かすことで、Blenderの世界観を体験することが出来ると思います。

かげひと
かげひと
2022年3月現在のBlenderのバージョン3.1です。こちらの動画は少し前のバージョンでの説明になっていまが、ほぼ大差はないので安心して学ぶことが可能です。

 

●【超入門】今からはじめるblender3.0 ~導入から画像出力まで~
(チャンネル:Yuki’s blender school)

こちらは、雪さんが投稿されている超初心者向けメイキング動画です。先ほどと同様に、インストールから作品作りの流れを紹介してくれていますが、こちらは「マテリアル(質感)」の設定の仕方も一緒に教えてくれています。

サムネを見て頂ければ分かりますが、Blenderではガラスや摺りガラス、発光した物体を作る事もできます。モチーフとなったリンゴの3D作品が綺麗ですので、主にキラキラしたものが好きな方が導入しやすいメイキング動画だと思います。

 

●【blender モデリング】コップの作り方 (ゆっくりボイス)
(チャンネル:e3D)

こちらは、インストールと基本操作をある程度学んでから見る事をお勧めするチャンネルになります。このチャンネルでは「リアルCG」寄りの作品を扱っています。

また、リアルな海リアルなスマートフォン背景イルミネーションの作り方などといった分野も投稿されていますので、現実的な3D作品を作りたい方にはおススメです。

 

●#00 天使のBlender2.8入門 キャラの下絵を設置しよう!
(チャンネル:Yonaoshi3D)

こちらも、ある程度基本操作を学んだ人向けの動画です。こちらのチャンネルでは、「Blenderで作ったキャラクターをアニメーションで動かす」メイキング動画を中心に投稿してくれています。

サムネのモンスターもさることながら、人物に関するモデリング→アニメーションのやり方についても分かりやすく解説してくれていますので、アニメーションまでやりたい方向けのメイキング動画になります。

補足:英語のメイキング動画の方が豊富

補足になりますが、Blenderのメイキング動画は、日本語解説よりも英語解説の方が何十倍も投稿されており、かつ分かりやすく解説されている動画もたくさんあります。

そのため、もし英語が出来る方は、日本語よりも英語の動画を見ながら勉強をされた方が、より他の人よりも差をつけることができるかもしれません。

かげひと
かげひと
管理人も英語の勉強がてらにメイキング動画を見ていますが、英語メイキングには日本語版では誰も解説していないであろう「凄ワザ」なメイキング動画がたくさんあります。

もちろん、日本語解説のメイキング動画も分かりやすいものがたくさんありますので、興味を持った方はぜひのぞいてみてください!

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、「「Blenderを始めてみたいな」と考えた絵描きへのアドバイス&勉強の仕方」という事で、Blenderが少し気になっているイラストレーター、絵師、趣味の絵描き向けの解説記事でした。

Blenderは、誰でも無料で使用できる3DCGソフト(PCのみ)ですが、機能がたくさんあり過ぎて、短期間で挫折してしまう方がかなり多いそうです

そのため、Blenderを本格的に導入してみたい方は、「自分がBlenderを使用する目的・目標」をあらかじめ決めておき、それに沿ったメイキング動画を探したり、専門の講座やサロンに入会して学ぶことが大切です。

独学で学べない事もないですが、参考にするメイキング動画をよく吟味する必要があります。「粘土のような温かみのある3D作品」を作りたい場合、そのメイキング動画を投稿している人にフォーカスし、順に動画を見て学んでいくことをお勧めします。

どのジャンルでも言える事ですが、スキルというのは数日数ヶ月で完全に身につくものではありません。そのため、「周りの人はこんなにも出来ているのに、自分はまだここだ…」と落ち込むことさえ時間の無駄です。

Blenderは、イラストを描けるようになる時間と比べて短期間で取得することはできますが、それでも目に見えて成長するには時間がかかりますので、あまり焦らずじっくり学んでいく事をおススメします。

かげひと
かげひと
私も絶賛勉強中ですので、Blenderを本格的に学ぶ方は一緒に頑張りましょう!

最後までご覧いただきありがとうございました!

それでは!